アドミニストレーティブディスタンス値

 Ciscoルータでは、1台のルータ上で複数のルーティングプロトコルを実装することができます。複数のルーティングプロトコルが設定されている場合、どのルーティングプロトコルによって学習された経路を信頼して、ルーティングテーブルに登録されるのでしょうか。

 例えば、ルーティングプロトコルに、RIP、IGRP が設定されている場合、どちらのルーティングプロトコルによって学習されて経路をルーティングテーブルに登録するのでしょうか。

 RIP は、メトリックとしてホップカウントしか見ていません。IGRP は、デフォルトで帯域幅と遅延を考慮して経路を求めています。IGRPの方がより適切な経路を見つけてくれそうですね。

下図のようなネットワーク構成の場合について考えてみます。

RIPでは、ホップカウントしか見ないので、Router_A からRouter_E への経路は

Router_A → Router_B → Router_E

の経路になります。

IGRP だと、帯域幅とちゃんと見ますので、経路は、

Router_A → Router_C → Router_D → Router_E

の経路になります。

経由するルータの数が少ないからといって、RIPのルートが最適だとは言えないのです。

 ルータに RIP、IGRP の両方の設定を行った場合、IGRP が学習した経路をルーティングテーブルに登録して欲しいですよね!実際に RIP、IGRP の両方の設定を行った場合、ルーティングテーブルに登録される経路は、IGRPによって学習された経路を学習します。

それでは、Ciscoルータは、何を基準にしてルーティングテーブルに登録する経路を決めているのでしょうか。

 それは、アドミニストレーティブディスタンス(Administrative Distance)という値が関係してきます。アドミニストレーティブディスタンス値は、下の表のように定義されています。

経路情報アドミニストレーティブディスタンス値
直接接続のルート0
スタティックルート1
EIGRPサマリ5
外部BGP20
EIGRP内部ルート90
IGRP100
OSPF110
IS-IS115
RIP120
EGP140
EIGRP外部ルート170
内部BGP200
不明(Unkown)255

 複数のルーティングプロトコルで学習した経路や管理者が手動で設定した経路は、アドミニストレーティブディスタンス値の小さい方を信頼性が高いと判断して、ルーティングテーブルに登録します。

ルータに RIP、IGRP の両方の設定を行った場合だと

RIP  ・・・ 120
IGRP ・・・ 100

になります。

 アドミニストレーティブディスタンスの値が小さい IGRP によって学習された経路がルーティングテーブルに登録されるようになるのです。

 複数のルーティングプロトコルを設定した場合には、アドミニストレーティブディスタンスの値に着目する必要があるので覚えておきましょう。