EIGRP(サクセサ・フィジブルサクセサ)
DUAL
EIGRP では、DUAL(Diffusing Update Algorithm)と呼ばれる計算アルゴリズムによって「ネイバーテーブル」と「トポロジテーブル」から得た情報を使って、宛先への最低コストのルートを計算します。
そして、1番最適な経路をサクセサ(Successor)、2番目に最適な経路フィージブルサクセサ(Feasible Successor)を選出します。ルーティングテーブルには、サクセサだけが登録されます。サクセサがダウンするとフィージブルサクセサがサクセサに昇格してルーティングテーブルに登録されます。
EIGRP では、フィージブルサクセサを用意しておくことで、代替ルートを素早く用意して切り替えることができます。
サクセサ、フィージブルサクセサの選出
サクセサ、フィージブルサクセサを選出するには、トポロジーテーブル上にある以下の2つの値を見て決めます。
●FD(Feasible Distance): フィージブルディスタンス
宛先ネットワークへのメトリックの値です。最低のコストになる経路がサクセサになります。AD の値とADを通知してきたルータへのメトリックを加算した値になります。
●AD(Advertised Distance): アドバタイズドディスタンス
AD は、RD(Reported Distance)と呼ばれることもあります。隣のルータが通知してきた宛先ネットワークまでのメトリックです。自分から見たメトリックではありません。AD を送ってきたルータから見た宛先ネットワークまでのメトリックです。
まず、サクセサの選出ですが、これは、FD が最も小さくなるものが選択されます。
次に、フィージブルサクセサの選出ですが、下のルールを満たすものが選択されます。
サクセサのFD > AD
下図で考えてみます。

トポロジーテーブルは、以下のようになります。
ネットワークA | FD | AD | トポロジ |
Router_B 経由 | 40 | 30 | サクセサ |
Router_C 経由 | 50 | 35 | フィージブルサクセサ |
Router_D 経由 | 50 | 40 | - |
AD は、隣のルータが通知してくる宛先ネットワークまでのメトリックですから、Router_A から見たメトリックにならないので注意して下さい。
サクセサのFD > AD
を満たすルートは、Router_C を経由するルートしかありません。なので、Router_C 経由するルートがフィージブルサクセサになります。
Router_C を経由するルート、Router_D を経由するルートが共に50と同じ値になりますが、Router_D を経由するルートは、フィージブルサクセサにならないので注意して下さい。
EIGRP ルータがサクセサを失った場合、このフィージブルサクセサがバックアップルートとなります。フィージブルサクセサがない場合、DUALは、そのルートをアクティブ状態にして、隣接ルータにマルチキャストでクエリを送信して、サクセサルートを探索します。サクセサルートが見つかると、そのルートをパッシブ状態に戻します。
次の「EIGRPの設定例1」では、実際に EIGRP でネットワークを構築してみます。設定自体は、IGRP の設定と同じくとても簡単です。