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EIGRP(ハロー間隔・ホールドタイム)
「EIGRPの設定例1」で構築した下図のネットワークを使用して、EIGRP の Hello間隔とホールドタイムについて注目していきます。

EIGRPでは、Helloパケットを使って隣接ルータと隣接関係を結んでいます。およその目安ですが、EIGRPルータは、ハローパケットを帯域幅が1.544Mを超える場合は、5秒ごとに、1.544Mbps以下の場合は60秒間隔で送信しています。
※リンクの種類によって変わってきます。
「show ip eigrp neighbors」コマンド
デフォルトのHello間隔、ホールドタイムは、「show ip eigrp neighbors」コマンドで、ホールドタイムの様子を観察することで確認できます。
Router#show ip eigrp neighbors
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 11 00:00:20 40 1000 0 3
赤のマーカー:ネイバーのIPアドレス
オレンジのマーカー:ネイバーと接続しているルータ自身のインターフェイス
水色のマーカー:ホールドタイム。ネイバーから EIGRP パケットを受け取らずにネイバーから応答を待つ時間(秒)
●デフォルトのHello間隔、ホールドタイムの目安
帯域幅 | リンクの例 | Hello間隔 | ホールドタイム |
1.544Mbps以下 | マルチポイントフレームリレー | 60秒 | 180秒 |
1.544Mbps超え | イーサネット,ISDN BRI,PPPまたはHDLC回線 | 5秒 | 15秒 |
EIGRP ルータは、この Hello パケットを受信している限り、隣接ルータと隣接関係を確立することができます。このHelloパケットは、マルチキャストIPアドレス 「224.0.0.10」を使って送信されています。
ホールドタイムは、ルーティングループを防ぐためのホールドダウンタイマーとは、意味が違います。名前が似ていますが別物です。ホールドタイムは通常、Hello 間隔の3倍に設定されますが、これは、必須ではありません。管理者が、自由に設定することができます。
このホールドタイムの間に、Helloパケットを受信しない場合、EIGRP ルータは、隣接ルータがダウンしたと判断します。そして、DUAL が動作し、ルーティングテーブルの再計算のが始めます。
Hello 間隔、ホールドタイムを設定するコマンドは、以下コマンドになります。
Hello間隔を設定するコマンド
Router(config-if)#ip hello-interval eigrp {AS番号} {送出間隔}
ホールドタイムを設定するコマンド
Router(config-if)#ip hold-time eigrp {AS番号} {送出間隔}
※Packet Tracer では、検証することができません。
「show ip eigrp neighbors」コマンド
R1ルータ、R2ルータの Hello 間隔、ホールドタイムを「show ip eigrp neighbors」コマンドで、観察すると共に、Hello間隔が5秒、ホールドタイムが、15秒であることが確認できます。
「show ip eigrp neighbors」コマンドを連続入力して確認します。
●「show ip eigrp neighbors」の出力
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 14 00:44:35 40 1000 0 3
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 13 00:44:36 40 1000 0 3
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 12 00:44:37 40 1000 0 3
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 11 00:44:38 40 1000 0 3
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 10 00:44:39 40 1000 0 3
R1#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.2 Se0/0/0 14 00:44:40 40 1000 0 3
黄色のマークに注目してください。「show ip eigrp neighbors」コマンドを連続で入力すると「Hold」の値が、10になると14に戻っていることが確認できます。つまり、15からカウントダウンして、14→13→12→11→10になっています。
R1のHello間隔を10秒に変更してみます。
R1(config)#int s0/0/0
R1(config-if)#ip hello-interval eigrp 1 10
R2ルータ側で、「show ip eigrp neighbors」コマンドを入力します。
R2#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.1 Se0/0/0 13 00:57:33 40 1000 0 3
R2#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.1 Se0/0/0 5 00:57:40 40 1000 0 3
R2#show ip eigrp neighbors
IP-EIGRP neighbors for process 1
H Address Interface Hold Uptime SRTT RTO Q Seq
(sec) (ms) Cnt Num
0 172.17.0.1 Se0/0/0 14 00:57:42 40 1000 0 3
黄色のマークに注目してください。R1のHello間隔が変更されたため、15からカウントダウンして、14→13→12→11→・・・→5になっていることが確認できます。
つまり、R1からHelloが10ごとに送信されてくるため、ホールドタイムが15から、10秒経過した時点の5で、R1のHelloを受信することになるため、15に戻ることになるのです。
OSPFでは、ルータが隣接関係を結ぶためには、ハロー間隔とデッド間隔が同じ間隔である必要がありますが、EIGRPでは、そのような制限はありません。
EIGRPでは、お互いのHello間隔、ホールドタイム値が一致しなくても隣接関係が結べます。
関連コンテンツ
- EIGRPの特徴
- EIGRP(サクセサ・フィジブルサクセサ)
- EIGRPの設定例1
- EIGRP(検証コマンド)
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- EIGRP(ハロー間隔・ホールドタイム)
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