OSPFの特徴・エリアの概念

OSPFの特徴

 OSPFは、IETF によって標準化されているリンクステート型のルーティングプロトコルです。Cisco が独自に開発した EIGRP と違い、Cisco 社製のルータ以外のマルチベンダのルータ間でルーティングが可能です。OSPFの大きな特徴の一つに、エリアの概念があります。※現在、EIGRP は、RFC7868 で仕様が公開されています。

エリアの概念

 OSPF ネットワークでは、小さなネットワークを1つのエリアとして設定し、複数のエリアを エリア0(バックボーン)に接続することで、ネットワークを階層構造に構築することができます。エリアを単位とし、グループ管理する設計アプローチによって、ネットワークの変化をエリア内に留め、パフォーマンスを向上させています。その結果、コンバージェンスの時間が短縮されます。

 各エリアは、必ずエリア0(バックボーン)に接続しなければなりません。複数のエリアを接続するOSPFネットワークのことをマルチエリアOSPFと言います。CCNA試 験も出題範囲がかなり広くなり、現在では、エリア0(バックボーン)のみで構成されるシングルエリア OSPF は、もちろん、マルチエリア OSPF も出題範囲になっています。

※下図の補足:正確には、各エリアはABRによって接続されます。

※正確には、各エリアはABRによって接続されます。

 OSPFは、RIPやIGRPなどのディスタンスベクタールーティングプロトコルと比べ、大規模なネットワークを構築することができます。

しかし、ネットワークの規模が大きくなってくると、問題が浮かび上がってきます。

 そもそも、OSPFは、最短パスを求めるのに計算にダイクストラのアルゴリズムを使うルータへの負荷がとても高いルーティングプロトコルです。ルータのCPUやメモリ資源をかなり消費します。ネットワークの規模が大きくなると、ますます、ルータへの負荷が高くなってしまいます。

 また、ネットワークの規模が大きくなるということは、障害やネットワークの変更が発生する可能性が高くなるので、頻繁にSPF(最短経路優先)の再計算が必要になってきます。

 さらに、ルータの数も増えることになりますから、トポロジーデータベースを構築するためにルータ同士が交換しているLSAの数も増えてしまします。

 そこで、OSPF では、ネットワークの規模が大きくなる場合には、上の図のように、ネットワークを複数のエリアに分割してマルチエリアでネットワークを構築します。

 OSPF ネットワークでは、小さなネットワークを1つのエリアとして設定し、複数のエリアをエリア0(バックボーン)に接続することで、ネットワークを階層構造に構築することができます。このように、1つのネットワークを複数のエリアに分割し、各エリア内とエリア間のルーティングとに分けてゆく方式を「階層型ルーティング」と呼んでいます。

 このエリアを定義する設計アプローチによって、LSA が届く範囲を分割することができ、ネットワークの変化をエリア内に留め、パフォーマンスを向上させることができます。

 上でも解説しましたが、OSPF では、各エリアを必ずエリア0(バックボーンエリア)に接続しなければならないというルールがあります。エリア0以外は、必ず、このバックボーンエリアに接続しなければなりません。

ルータタイプ

 OSPF ルータは、役割に応じて、ルータを3つのタイプの名称で呼んでいます。その役割によって、送受信するアドバタイズの種類や、SPFツリー情報が異なってきます。

●Internal : 内部ルータ(Internal Router)

ルータのすべてのインターフェイスが同一エリア内のルータしか接続していないルータ。他エリアには、接していません。

●ABR : エリア境界ルータ(Area Border Router)

他のエリアへ接続されたインターフェイスを持つルータ。

ASBR : AS境界ルータ(AS Boundary Router)

 他のASや、OSPF 以外のルーティングプロトコルを使用しているネットワークへ接続しているインターフェイスを持つルータ。

LSA

 シングルエリア OSPF では、特に LSA の種類に関して、あまり意識する必要はありませんが、マルチエリア OSPF では、非常にたくさんの種類の LSA を交換します。どんなタイプの LSA があるのかを把握しておく必要があります。

 下にどんなタイプのLSAがあるのか、いくつかを紹介しておきます。LSA タイプの種類が多く、解説書、各ベンダーのマニュアルで名称の呼び名が違う場合があります。マルチエリア OSPFでは、LSA タイプの理解が必要になってきます。

タイプ 名称 生成ルータ 範囲 説明
1 ルーターLSA 全OSPFルータ エリア内  エリア内にあるリンクの情報。全てのルータが生成し、通知範囲はエリア内に限定される。
2 ネットワークLSA DR エリア内  マルチアクセスネットワーク上の代表ルータ(DR)が生成します。DRのIPアドレス、ルータID、同じマルチアクセス型ネットワーク上のルータIDのリスト、サブネットマスクを通知します。通知範囲は同じエリア内に限定されます。
3 ネットワーク
サマリーLSA
ABR エリア内  エリア間のネットワークへの経路情報を通知する。エリア境界ルータ(ABR)が生成し、通知範囲はエリア内に限定されます。デフォルトルート、集約ルートを通知することができる。
4 ASBRサマリーLSA ABR エリア内  非OSPFネットワークへ接続するASBR(AS境界ルータ)のルータIDとASBRへのメトリック情報を通知します。ABRが生成し、通知範囲はエリア内に限定されます。
5 AS外部LSA ASBR スタブエリアを除くOSPFドメイン全体  非OSPFネットワークへの経路情報を通知する。ASBRが生成し、スタブエリアを除く、OSPFドメイン全体に通知されます。AS外部ルートのメトリックは、固定で通知することも、増加させて通知させることもできます。
7 NSSA外部LSA NSSA内の
ASBR
NSSA  NSSAエリア内のASBRによって生成されます。タイプ7LSAは、NSSAエリア内だけにフラッディングされます。そのためNSSA内のABRがLSAタイプ7をLSAタイプ5に変換してOSPFドメイン内に通知します。

※LSAタイプ6 も存在しますが、これは、マルティキャスト OSPF ルータによってフラッディングされるものです。ここでは、省略します。

 次の「OSPF(経路学習プロセス)」では、OSPF が最短経路を学習して、ルーティングテーブルに経路をするまでのプロセスを解説します。

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