※このページで解説している内容は、Packet Tracer が IGRP に対応していないため、Packet Tracer で検証することができません。実機における検証結果を紹介しています。検証に使った実機は、古い機種です。

IGRPの設定例1

 下図のネットワークを IGRP で構築します。設定の仕方は、RIP の設定とよく似ています。IGRP の設定を行うには、グローバル設定モードで「router igrp {AS番号}」を指定します。

 ASとは、「Autonomous System」の略で、「自律システム」と呼ばれています。1つの組織などで管理されるネットワークの集合を指します。自律システム内で、経路情報を共有します。

 IGRP の設定では、この AS番号(自律システムの番号)を指定します。EIGRP でも同様に AS番号を指定します。同じAS番号を使っているルータ間だけで経路情報が共有されます。

IGRPを設定するコマンド

Router(config)#router igrp {AS番号}
Router(config-router)#network {ネットワーク番号}

AS番号: 1~65,535

ネットワーク番号は、RIPと同様、クラスフルで指定します。サブネットマスクは、必要ありません。

 注意点は、IGRPでは、回線の帯域幅をメトリックとして使用しますので、「bandwidth」コマンドで帯域幅を設定する必要があります。設定を忘れると、せっかくIGRPで設定した意味がなくなってしまいます。

Router(config-if)#bandwidth {帯域幅}

帯域幅: 単位は、Kbpsで指定します。

AS番号を合わせる

R1ルータ、R2ルータでは、AS番号を合わせておく必要があります。

R1ルータで

R1(config)#router igrp 1
R1(config-router)#network 172.16.0.0
R1(config-router)#network 172.17.0.0

R2ルータで

R2(config)#router igrp 2 ← R1とは異なるAS番号
R2(config-router)#network 172.16.0.0
R2(config-router)#network 172.17.0.0

 と設定してしまうとR1ルータ、R2ルータは、異なるASに存在することになるので、経路情報が共有できなくなります。

経路情報を共有したいのであれば、AS番号は統一しておく必要があります。

ここでは、AS番号を「1」に統一して設定していきます。

IGRPの設定

以下のように設定します。

  • Router_Aは、IGRPでAS番号「1」を指定します。
  • Router_Bは、IGRPでAS番号「1」を指定します。

各ルータのコンフィグは、下記の通りです。

●Router_Aの設定

!
version 11.1
service udp-small-servers
service tcp-small-servers
!
hostname Router_A
!
enable password cisco
!
interface Ethernet0
 ip address 172.16.0.1 255.255.0.0
!
interface Serial0
 ip address 172.17.0.1 255.255.0.0
 bandwidth 64
 clockrate 64000
!
router igrp 1
 network 172.16.0.0
 network 172.17.0.0
!
ip classless
!
line con 0
line aux 0
line vty 0 4
 password cisco
 login
!
end

●Router_Bの設定

!
version 11.1
service udp-small-servers
service tcp-small-servers
!
hostname Router_B
!
enable password cisco
!
interface Ethernet0
 ip address 172.18.0.1 255.255.0.0
!
interface Serial0
 ip address 172.17.0.2 255.255.0.0
 bandwidth 64
 no fair-queue
!
router igrp 1
 network 172.17.0.0
 network 172.18.0.0
!
ip classless
logging buffered
!
line con 0
 exec-timeout 0 0
line aux 0
line vty 0 4
 password cisco
 login
!
end

Router_A、Router_Bのルーティングテーブルを確認してみます。

●Router_Aのルーティングテーブル

Gateway of last resort is not set

C    172.16.0.0/16 is directly connected, Ethernet0
C    172.17.0.0/16 is directly connected, Serial0
I    172.18.0.0/16 [100/8576] via 172.17.0.2, 00:00:41, Serial0

●Router_Bのルーティングテーブル

Gateway of last resort is not set

I    172.16.0.0/16 [100/8576] via 172.17.0.1, 00:00:45, Serial0
C    172.17.0.0/16 is directly connected, Serial0
C    172.18.0.0/16 is directly connected, Ethernet0

「I」で表示されているルートは、IGRPによって学習したことを意味します。

Router_Aでは、「172.18.0.0/16」のルート
Router_Bでは、「172.16.0.0/16」のルート

を学習していることが分かります。

それでは、この設定した IGRP ネットワークを検証コマンドを使って確認してみましょう。

続きは、「IGRP(検証コマンド)」で解説していきます。

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