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演習ファイルのダウンロード
ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。
BGPの基本設定
なんと!Packet TracerでBGPでネットワークが構築できるんです!とは言っても、ごく一部の機能ですが。
BGPの設定は、様々な属性を与えて経路選択を操作することができるため、少々設定が複雑で、Packet Tracer では細かな検証はできません。今後の機能拡張に期待します。
※Packet Tracer では、iBGPをサポートしていないため、BGPのごく一部の機能しか試してみることができません。細かな機能の検証については、実機が必要です。
ここでは、BGPを用いて基本的なネットワークを構築していきます。
ネットワークの構成は、下図のとおりです。

今回のBGPの基本設定では、以下のことを行います。
- AS100内の「10.10.10.0/24」のルートをAS200に通知する。
- AS200内の「20.20.20.0/24」のルートをAS100に通知する。
BGPの設定の流れ
1.BGPプロセスを有効にする。
BGPでは、ピアを複数張ることができますが、1台のBGPルータで有効化できるBGPプロセスは1つだけとなります。そこで、プロセス番号ではなく、AS番号を指定します。
Router(config)#rotuer bgp {as-number}
※as-number:AS番号を 1 ~ 65535 の範囲で指定
2.ピアを確立する近接ルータを指定する。
IGPのように自動でネイバーの登録は、行われません。管理者がネイバーの登録を行います。
Router(config-router)#neighbor {ピアを張るルータのIP} remote-as {as-number}
3.通知する経路を指定する。
Router(config-router)#network {ネットワークIP} mask {サブネットマスク}
BGP同期の設定
BGPでは、『たとえBGPで経路情報を学習してもIGPで学習するまでは、その経路情報を有効にしない。』というBGP同期という機能があります。
そのBGP同期の機能ですが、有効化にするケースは、ほぼありません。メリットも少ないです。それは、無効化することで、他ASからの大量のルートを流入を防ぎ、ルータが過負荷状態になることを避けることができるからです。
このBGP同期の機能は、現在のIOSのバージョンでは、デフォルトで無効(no synchronization)なっています。古いIOSの場合は、以下のコマンドで、この機能を無効にしてきます。
Router(config-router)#no synchronization
基本設定
まず、ホスト名とIPv4アドレスなどの基本設定をルータに行います。
各ルータの基本コンフィグは、以下のとおりです。
●R1のコンフィグ
hostname R1
int g0/0
ip address 10.10.10.1 255.255.255.0
no shutdown
int s0/0/0
ip address 172.16.0.1 255.255.0.0
clock rate 64000
bandwidth 64
no shutdown
end
copy run start
●R2のコンフィグ
hostname R2
int g0/0
ip address 20.20.20.1 255.255.255.0
no shutdown
int s0/0/0
ip address 172.16.0.2 255.255.0.0
bandwidth 64
no shutdown
end
copy run start
R1のBGP設定
R1のBGPルーティングの設定は、以下のようになります。
BGPでは、ピアを複数張ることができますが、1台のBGPルータで有効化できるBGPプロセスは1つだけとなります。
R1が所属するASは100です。BGP のASを100で指定します。
R1(config)#router bgp 100
次に、ピアを張るBGPスピーカーのIPアドレスを指定し、そのBGPスピーカーが所属するAS番号を指定します。
R1(config-router)#neighbor 172.16.0.2 remote-as 200
最後に、BGPで通知する経路情報を指定します。
R1(config-router)#network 10.10.10.0 mask 255.255.255.0
BGPルートに対する自動集約ですが、BGPの「auto-summary」は、デフォルトで無効になっています。有効にするとBGPへ再配布されるルートに対して自動集約を行います。ここでは、デフォルトの設定のままとしておきます。
R2のBGP設定
R2(config)#router bgp 200
R2(config-router)#neighbor 172.16.0.1 remote-as 100
R2(config-router)#network 20.20.20.0 mask 255.255.255.0
各ルータのBGPコンフィグ
●R1のBGPコンフィグ
router bgp 100
neighbor 172.16.0.2 remote-as 200
network 10.10.10.0 mask 255.255.255.0
●R2のBGPコンフィグ
router bgp 200
neighbor 172.16.0.1 remote-as 100
network 20.20.20.0 mask 255.255.255.0
ルーティングテーブルの確認
各ルータのルーティングテーブルを確認します。
●R1ルータのルーティングテーブル
R1#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP
i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area
* - candidate default, U - per-user static route, o - ODR
P - periodic downloaded static route
Gateway of last resort is not set
10.0.0.0/8 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C 10.10.10.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/0
L 10.10.10.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0
20.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
B 20.20.20.0/24 [20/0] via 172.16.0.2, 00:00:00
172.16.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C 172.16.0.0/16 is directly connected, Serial0/0/0
L 172.16.0.1/32 is directly connected, Serial0/0/0
●R2ルータのルーティングテーブル
R2#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP
i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area
* - candidate default, U - per-user static route, o - ODR
P - periodic downloaded static route
Gateway of last resort is not set
10.0.0.0/24 is subnetted, 1 subnets
B 10.10.10.0/24 [20/0] via 172.16.0.1, 00:00:00
20.0.0.0/8 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C 20.20.20.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/0
L 20.20.20.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0
172.16.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C 172.16.0.0/16 is directly connected, Serial0/0/0
L 172.16.0.2/32 is directly connected, Serial0/0/0
上の黄色のマークに注目します。
R1ルータには、BGPのルート「20.20.20.0」のルートがあります。
R2ルータBには、BGPのルート「10.10.10.0」のルートがあります。
設定は、簡単だったと思います。RIP、IGRP、EIGRPなどのルーティングプロトコルと大して変わらないと思ったかもしれません。しかし、BGPの設定は、奥が深く、これから先の内容は、ちょっと勝手が違ってきます。どこがどう違うのかは、この後のコンテンツで紹介していきます。
この続きは、「BGPの基本設定(ベストパスの確認)」で、設定した内容を検証していきます。
演習ファイルのダウンロード
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