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演習ファイルのダウンロード
ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfeeインターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。
EtherChannel(ダイナミック:LACP)その1
EtherChannel を設定するには、下表のように3つ方法があります。
スタティック | 物理ポートでネゴシエーションさせないで、強制的にEtherChannelを形成させる方法。 |
ダイナミック (Cisco独自) |
物理ポートでPAgPプロトコルのネゴシエーション通じてEtherChannelを形成する方法。 |
ダイナミック (IEEE802.3ad) |
物理ポートでLACPプロトコルのネゴシエーション通じてEtherChannelを形成する方法。 |
ここでは、IEEE標準のLACP の EtherChannel を設定していきます。
「LACP」は、対向デバイスとポート速度、全二重/半二重、VLAN番号、トランクなどを判断し、ネゴシエーションを通じて、EtherChannelを形成するCisco独自のプロトコルです。
検証に使用するスイッチは、Packet TracerのCatalyst2960を使用します。どのチャネルモードをサポートしているかは、スイッチによって異なりますので、注意して下さい。例えば、Catalyst2900XL、Catalyst3500シリーズでは、「PAgP」や「LACP」は、サポートされていません。
ネットワークの構成は、下図の通りです。

※チャネルが構成される前では、スイッチ間はループ構造になってしまいます。ループは、衝突など障害の原因になるので、STPよりブロッキングポートが配置されます。下図では、S2のf0/10がブロッキングポートになっています。

基本設定
まず、基本設定から行っていきます。
S1スイッチ、S2スイッチの設定は、下記の通りです。
●S1のコンフィグ
hostname S1
int vlan1
ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
no shutdown
●S2のコンフィグ
hostname S2
int vlan1
ip address 192.168.1.2 255.255.255.0
no shutdown
EtherChannel(LACP)の設定
LACPのモード
LACP で EtherChannel が成立する組み合わせは、以下のようになります。
- Active ・・・ 自らLACPネゴシエーションのパケットを送る。
- Passive ・・・ 自らLACPネゴシエーションのパケットを送らないが、要求が来たら受け付ける。
・Active ⇔ Active : 両方ともに Active
・Active ⇔ Passive : 片方が Acive 、もう片方が Passive
今回の LACP の設定では、ともに Active を指定ていきます。

S1のモード | S2のモード | チャネルの確立 |
Active | Active | はい |
Active | Passive | はい |
Passive | Active | はい |
Passive | Passive | いいえ |
EtherChannelを設定するには、インターフェイスに対して、チャネルグループ番号を指定します。例えば、上の構成図のように、f0/9 と f0/10 に対して、チャネルグループ番号1を割り当てるには、次のように指定します。連続したインターフェイスをまとめて設定する場合、「range」を指定すると便利です。
「channel-group」を指定する際に、モードは、「active」もしくは、「passive」を指定します。
Switch(config)#interface range fastEthernet 0/9 - 10
Switch(config-if-range)#channel-group 1 mode active
すると次のメッセージが表示されます。
Creating a port-channel interface Port-channel 1
コマンドを実行すると、「fa0/9」、「fa0/10」は、Port-channel1というインターフェイスに割り当てられます。
S1・S2のEtherChannelの設定
S1スイッチ、S2スイッチのEtherChannel の設定は、下記のとおりです。チャネルグループ番号には「1」を指定しています。
●S1のEtherChannelのコンフィグ
interface range fastEthernet 0/9 - 10
channel-group 1 mode active
●S2のEtherChannelのコンフィグ
interface range fastEthernet 0/9 - 10
channel-group 1 mode active
EtherChannel(PAgP)の検証
PAgP による EtherChannel の設定を検証していきます。
show cdp neighbors
まずは、対向側のスイッチが存在することを確認します。「show cdp neighbors」コマンドを使用します。S1で、このコマンドを実行します。
●S1での「show cdp neighbors」の出力
S1#show cdp neighbors
Capability Codes: R - Router, T - Trans Bridge, B - Source Route Bridge
S - Switch, H - Host, I - IGMP, r - Repeater, P - Phone
Device ID Local Intrfce Holdtme Capability Platform Port ID
S2 Por 1 177 S 2960 Fas 0/9
S2 Por 1 177 S 2960 Fas 0/10
S2 Por 1 177 S 2960 Por 1
対向側のスイッチと「Port-channel 1」で接続しており、物理インターフェイス f0/9、f0/10と接続していることが分かります。
show etherchannel summary
設定した EtherChannel が正しく動作しているかを確認するには、「show etherchannel summary」コマンドを使用します。S1で、このコマンドを実行します。
●S1での「show etherchannel summary」の出力
S1#show etherchannel summary
Flags: D - down P - in port-channel
I - stand-alone s - suspended
H - Hot-standby (LACP only)
R - Layer3 S - Layer2
U - in use f - failed to allocate aggregator
u - unsuitable for bundling
w - waiting to be aggregated
d - default port
Number of channel-groups in use: 1
Number of aggregators: 1
Group Port-channel Protocol Ports
------+-------------+-----------+----------------------------------------------
1 Po1(SU) LACP Fa0/9(P) Fa0/10(P)
出力を見ると分かるように、「Po1」があります。これは、設定したPort-Channel1です。
上の黄色のマークの「SU」と表示されているのは、レイヤ2の設定で現在利用中と言うことを意味しています。「S」は、レイヤ2、「U」は、利用中(USE)を表しています。
「Ports」項目のところの「P」は、Port-channel 1 として稼働中のインターフェイスを表しています。
引き続き、次の「EtherChannel(ダイナミック:LACP)その2」で検証を続けていきます。