このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。
ネットワーク構成
ネットワークの構成は、下図のとおりです。

演習ファイルのダウンロード
ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfeeインターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。
スパニングツリー設定②(プライオリティの変更)
ここでは、「スパニングツリー設定①(ルートブリッジの選択)」で構築したネットワークをそのまま使います。スイッチのプライオリティを変更して、意図的にルートブリッジを決めます。
Catalystスイッチでは、デフォルトでPVST+が有効になっています。Catalyst2960スイッチでは、PVST+を無効にすることができないため、PVST+を用いたスイッチドネットワークを構築していきます。
PVST+におけるBIDは、以下のようになります。
BID = プライオリティ + VLAN ID + MACアドレス
です。
デフォルトのプライオリティは、「32768」ですから、スイッチに特にプライオリティの設定を行わなければ、MACアドレスが、最も小さいスイッチがルートブリッジに選出されることになります。
「スパニングツリー設定①(ルートブリッジの選択)」で検証したように、下図のようなネットワークを構成した場合、ルートブリッジは、Switch_Aになります。
Switch_A ・・・ 0006.2afb.9f80
Switch_B ・・・ 0008.214f.7580

スイッチの処理能力は、機種によってさまざまです。処理能力の低いスイッチが、ルートブリッジになったらどうでしょうか?できれば、なるべく処理能力の高いスイッチをルートブリッジにしたいわけです。
そこで、プライオリティの設定を行えば、管理者の意思でルートブリッジの選出をコントロールできるようになります。
それでは、ネットワークの構成は、変更しないで、Switch_Bのプライオリティを変更してみます。
Switch_Aのプライオリティ ・・・ 32768(変更なし)
Switch_Bのプライオリティ ・・・ 4096

プライオリティを変更する
プライオリティを変更するには、グローバル設定モードで、「spanning-tree vlan {VLAN番号} priority {プライオリティ値}」コマンドを使用します。
プライオリティ値には、4096の倍数を指定します。
Switch(config)#spanning-tree vlan {VLAN番号} priority {プライオリティ値}
プライオリティ値: 0~65535の範囲で設定します。
Switch_Bのプライオリティを変更します。
Switch_B(config)#spanning-tree vlan 1 priority 4096
Switch_Bのプライオリティを変更してしばらく待つと、Switch_Bがルートブリッジになります。

スイッチのポートを確認してみるとSwitch_Bの「f0/2」のリンクがオレンジ色になっています。実機の場合では、下図のようにLEDがオレンジ色となります。このポートがブロッキングポートとなります。

ルートブリッジの全てのポートは、指定ポートになりますから、Switch_Bの「f0/1」、「f0/2」は、指定ポートになります。
ルートポートは、ルートブリッジ以外のスイッチで、スイッチごとに1つ決まります。Switch_A 上の Switch_A-Switch_B 間の2つのリンクは、ルートブリッジまでのパスコストが同じです。
以下のルールに基づいて、ルートポートが決定されます。
- ①送信元のBIDが小さい方のブリッジのポートが選ばれる。
- ②送信側のポートの優先度が小さいポートが選ばれる。
- ③ポートIDが小さいポートが選ばれる。
つまり、ポートIDの小さい「f0/1」がルートポートになります。
「show spanning-tree brief」コマンドを使って、ルートブリッジ、ポートのステータスを確認してみます。
Switch#show spanning-tree brief
●Switch_Aの出力
Switch_A#show spanning-tree
VLAN0001
Spanning tree enabled protocol ieee
Root ID Priority 4097
Address 0001.64B7.6661
Cost 19
Port 1(FastEthernet0/1)
Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec
Bridge ID Priority 32769 (priority 32768 sys-id-ext 1)
Address 0001.42ED.8DB5
Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec
Aging Time 20
Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type
---------------- ---- --- --------- -------- --------------------------------
Fa0/1 Root FWD 19 128.1 P2p
Fa0/2 Altn BLK 19 128.2 P2p
●Switch_Bの出力
Switch_B#show spanning-tree
VLAN0001
Spanning tree enabled protocol ieee
Root ID Priority 4097
Address 0001.64B7.6661
This bridge is the root
Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec
Bridge ID Priority 4097 (priority 4096 sys-id-ext 1)
Address 0001.64B7.6661
Hello Time 2 sec Max Age 20 sec Forward Delay 15 sec
Aging Time 20
Interface Role Sts Cost Prio.Nbr Type
---------------- ---- --- --------- -------- --------------------------------
Fa0/1 Desg FWD 19 128.1 P2p
Fa0/2 Desg FWD 19 128.2 P2p
プライオリティの設定を行えば、管理者の意思でルートブリッジの選出をコントロールできるようになることが確認できたと思います。
演習ファイル(完了)のダウンロード
ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習を完了させたファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。