【L3SW】L3スイッチとは

 L3スイッチ(Layer 3スイッチ)は、L2スイッチ(第2層、データリンク層)とルーター(第3層)の機能を組み合わせたものです。従来のL2スイッチはMACアドレスに基づいてフレームを転送しますが、L3スイッチはIPアドレスを考慮してパケットを転送することができます。これにより、よりスマートなルーティングやネットワークのセグメンテーションが可能になります。

 また、L3スイッチは、大規模なネットワーク環境で使用され、効率的なデータ転送やセキュリティの確保、トラフィックの制御など様々な目的に適しています。企業や組織のネットワークインフラストラクチャーにおいて重要な役割を果たしています。

L3スイッチの主な機能や特徴

ルーティング機能 L3スイッチは、異なるネットワーク間でパケットを転送するためのルーティング機能を持ちます。IPアドレスを解析し、最適な経路を選択してデータを転送します。
高速なパケット転送 L3スイッチはハードウェアでパケットを処理するため、高速で効率的なパケット転送が可能です。これにより、ネットワークのパフォーマンスが向上します。
VLANのサポート 仮想LAN(VLAN)の設定や管理を行うことができます。これにより、ネットワークを論理的に分割し、セキュリティやトラフィックの制御を強化することができます。
スイッチングとルーティングの統合 L3スイッチは、L2スイッチのスイッチング機能とルーターのルーティング機能を統合しています。これにより、異なるサブネット間での通信を効率的に行うことができます。
QoSの管理 品質サービス(QoS)の管理をサポートし、トラフィックの優先順位付けや帯域幅の制御を行うことができます。これにより、リアルタイム通信や重要なデータの処理を優先することが可能です。
L3スイッチの主な機能や特徴

L3スイッチとルータとの違い

 L3スイッチとルータは、ネットワークでデータを転送するためのデバイスですが、いくつかの違いがあります。

処理方法 L3スイッチは、パケットの転送においてハードウェアベースで高速に動作します。これは、IPアドレスを用いたパケットの処理や転送を迅速に行うことができます。ルータは、ソフトウェアベースで動作し、一般的にL3パケットを解釈してルーティングするため、パフォーマンスはL3スイッチよりも遅いことがあります。
ポート数とスケーラビリティ 通常、L3スイッチには多数のポートがあり、これにより多くのデバイスを接続し、高いスループットを実現できます。ルータは一般的に、少数のインターフェイスで構成され、比較的少ない数のネットワークに接続されることが多いです。
ルーティングの柔軟性 L3スイッチは、静的なルーティングと動的なルーティングの両方をサポートしていますが、多くの場合、ルーティングは高速なハードウェアによって行われます。ルータも静的および動的なルーティングをサポートしますが、一般的にソフトウェアによる処理が行われるため、処理速度に制約があります。
コスト一般的に、L3スイッチはルータよりも低コストで提供されることがあります。これは、効率的なハードウェアベースの処理により、コストを削減できるためです。
用途 L3スイッチは、LAN内での高速なデータ転送やVLAN管理、セグメンテーションなどに適しています。
 ルータは、異なるネットワーク間の接続やトラフィックの制御、インターネット接続など、より広範なネットワーク間の通信に適しています。
 要するに、L3スイッチはルーティング機能を持つ高速なスイッチングデバイスであり、ルータは異なるネットワーク間の通信を処理するための汎用的なデバイスです。両者は似ていますが、用途や性能などにおいて異なる特徴を持っています。
L3スイッチとルータとの違い

現在のL3スイッチとルータの違い

 L3スイッチとルータの違いは、昔はルータがソフトウェアで、スイッチがハードウェア(ASIC処理)で処理していたため、L3SWの方が高速に処理すると言われていましたが、現在ではどちらも高速なASIC処理を行われています。

 L3スイッチとルータの機能の違いがなくなりつつありますが、ルータは主にWANに関連する機能が豊富です。一方L3スイッチはLANで需要の多いEthernetポート数が多く、密度が高いという特徴があります。