このページで解説している内容は、以下のYoutube動画の解説で見ることができます。

シリアル接続

ここでは、ルータのシリアル接続について解説していきます。

クロックレートの設定

 通常、WAN接続において、ルータ側はDTEになり、通信事業者側がDCEとなります。DCE側が、クロック信号をDTEに送ってタイミングを合わせるので、ルータにクロックレートの設定は、必要ありません。

 しかし、演習環境においては、2台のルータをシリアルケーブルで直接つなげる「Back-to-Back」接続を行う必要があります。

 一方のルータを擬似的にDCEにして、クロックレートを設定することになります。それでは、何が基準でDCEとDTEが決まるのかというと、ケーブルによって決まります。

 下の写真はケーブルの実物で、少し見えにくいですが、「DCE」、「DTE」とマークが付いています。ケーブルによっては、コネクタ付近にラベルが付いているので確認してみて下さい。「DCE」と書かれている側のケーブルを挿したルータがDCEになります。「Back-to-Back」接続では、片方がDCE、もう片方がDTEになります。

DCEとDTE

それでは、下図のようにネットワークを設定していきましょう。

Packet Tracer でネットワーク構成したものが下図となります。

①DCE Serialケーブル

 シリアル接続ですが、①のDCE Serialケーブルを選択して、Router_Aの S0/0/0 を先に選択して、Router_Bの S0/0/0 とを接続します。

演習ファイルのダウンロード

 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。


クロックレートを設定するには、「clock rate」コマンドを使います。

DCE側のRouter_Aでは、クロック信号を提供しなければなりません。

クロックレートを設定するコマンドは、以下のコマンドです。

Router(config-if)#clock rate <クロックレート>

クロックレートは、bpsで指定します。

ちなみに、「?」で設定できるクロックレートを確認すると以下のように表示されます。

●clock rate ?

Router(config-if)#clock rate ?
Speed (bits per second
  1200           
  2400           
  4800           
  9600           
  19200          
  38400          
  56000          
  64000          
  72000          
  125000         
  128000         
  148000         
  250000         
  500000         
  800000         
  1000000        
  1300000        
  2000000        
  4000000        
  <300-4000000>  Choose clockrate from list above

●Router_Aの設定(DCE側)

Router_A(config)#interface serial 0/0/0
Router_A(config-if)#ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
Router_A(config-if)#clock rate 64000
Router_A(config-if)#no shutdown

●Router_Bの設定(DTE側)

Router_A(config)#interface serial 0/0/0
Router_A(config-if)#ip address 192.168.1.2 255.255.255.0
Router_A(config-if)#no shutdown

帯域幅の設定

 帯域幅とは、回線の速度です。(※厳密にはデータを運べる量)帯域幅を設定するには、「bandwidth」コマンドを使用します。この値は、Kbpsで設定します。クロックレートの設定と単位が違うので注意して下さい。

Router(config-if)#bandwidth <帯域幅>

 ところで、このコマンドで指定した回線速度は、実際の回線速度には、影響しません。つまり、速度を変えるコマンドでは、ないということです。

 「bandwidth」で指定した速度は、ルーティングプロトコルが経路を決定する上で、計算に使うメトリックになります。クロックレートで設定したスピードを合わせておかないと、ルーティングプロトコルが正しい経路を決定することができません。

それでは、先ほどのRouter_Aの設定に、「bandwidth」を追加します。

Router_A(config-if)#clock rate 64000

設定が完了したら、Router_AからRouter_BにPingが届くか確認してみましょう。

Router_A#ping 192.168.1.2

設定がうまくできていれば、pingが届くはずです。

演習ファイル(完了)のダウンロード

 ネットワークの構成をPacket Tracerで一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習を完了させたファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfeeインターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。