マルチエリアOSPFとは

 OSPFは、CCNA試験では、シングルエリアOSPFとして登場してきます。これは、OSPFを1つのエリア(バックボーンエリア)内だけで動作させるものです。

 CCNP試験では、複数のエリアでOSPFを動作させるマルチエリアOSPFが試験範囲になります。ここでは、マルチエリアOSPFについて解説します。

シングルエリアOSPFについては、以下のコンテンツで解説しています。こちらを参考にしてください。

シングルエリアOSPFについて

まずは、OSPFについて、簡単におさらいしておきましょう!

エリアの概念

 OSPFネットワークでは、小さなネットワークを1つのエリアとして設定し、複数のエリアをエリア0(バックボーン)に接続することで、ネットワークを階層構造に構築します。

 エリアを単位とし、グループ管理する設計アプローチによって、ネットワークの変化をエリア内に留め、パフォーマンスを向上させることができます。その結果、コンバージェンスの時間が短縮されます。

 ネットワークを階層的に構築するということは、各エリアにおいて、IPアドレッシングの計画を念入りに立てておく必要があります。せっかく、エリアを階層的に配置しても、IPアドレスを階層的に割り当てなければ、複数のエリアに分けるメリットが、半減してしまうからです。

OSPFには、決まりごとがあります。

 各エリアは、必ずエリア0(バックボーンエリア)に接続しなければならないというルールがあります。バーチャルリンク(Virtual link)という仮想のリンクを介してバックボーンエリアに接続させることもできますが、基本的にバックボーンエリアに接続させることになっています。

下の図のように、マルチエリアOSPFでは、複数のエリアをバックボーンエリアを介して接続します。

 RIPやIGRPなどのディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルは、ネットワーク上の全てのルータが、経路を認識するコンバージェンス(収束)に時間がかかってしまいます。

 OSPFは、リンクステート型のルーティングプロトコルです。コンバージェンスにかかる時間が、ディスタンスベクタと比較すると短くなります。

 そのため、OSPFは、RIP や IGRP などのディスタンスベクター型のルーティングプロトコルと比べ、大規模なネットワークを構築することができます。

しかし、ネットワークの規模が大きくなってくると、問題が浮かび上がってきます。

OSPFの問題点については、次の「マルチエリアOSPF(OSPFの問題点)」で解説します。