DHCPv4の動作(その12)
ルータのDHCPリレー機能を使用すれば、ルータを超えた先のDHCPv4サーバからIPv4アドレスの払い出しを受けることができます。ここでは、なぜ、自分の所属するネットワークのIPアドレスをDHCPv4クライアントが受け取ることができるのかを解説していきます。
DHCP(セグメントの識別)
DHCPリレー機能を利用すれば、下図のようなネットワークを構築することができます。DHCPv4サーバを集約して、1台のDHCPv4サーバーでIPv4アドレスの払い出しを管理できるようになります。

DHCPv4サーバには、下記のようにセグメント(ネットワーク)ごとにスコープを設定することとなります。
1F・・・10.1.0.0/16
2F・・・10.2.0.0/16
3F・・・10.3.0.0/16
4F・・・10.4.0.0/16
5F・・・10.5.0.0/16

それでは、なぜ、DHCPv4サーバは、DHCPv4クライアントが所属するセグメント(ネットワーク)を識別して、セグメントごとに異なる設定情報を割り当てているのでしょうか?

それは、DHCPv4メッセージ内の「GIADDR」のIPアドレスによって、どのサブネットのIPv4アドレスに割り当てるかを識別しIPアドレスを割り当てているからです。「GIADDR」に値が無い場合は、同一セグメントと認識しています。
DHCPのメッセージフォーマット
情報名 | 説明 |
CIADDR | クライアントIPv4アドレス、クライアントがBOUND、 RENEW、REBINDING状態の場合に用いられる。 |
YIADDR | DHCPv4サーバが割り当てるクライアントのIPv4アドレス(自分のIPv4アドレス) |
SIADDR | DHCPv4サーバのIPアドレス |
GIADDR | DHCPリレーエージェントのIPv4アドレス。DHCPv4サーバはGIADDRを見てクライアントの所属するサブネットを識別する。 |
CHADDR | クライアントのMACアドレス |
DHCPリレーが設定されたルータは、DHCPv4パケットをDHCPv4サーバに転送する前に、パケットのGIADDRフィールドに、そのセグメント用のルータのIPv4アドレス(DHCPv4パケットの着信インターフェイスのIPv4アドレス)を格納します。
DHCPv4クライアントが、IPv4アドレスを取得する際に、そのIPv4アドレスがクライアントのためのゲートウェイアドレスとなります。