EtherChannel の概要

ここでは、EtherChannel の特徴や利点、制限についてまとめていきます。

ポートチャネル(Port-Channel)とは

 複数の物理ポートを1つの論理チャネルにグループ化してまとめた仮想インターフェイスのことをポートチャネルと呼んでいます。この用語は、Cisco Catalyst スイッチを設定する際に用語として用いられています。

 下図に示すように、複数の物理インターフェイスが1つのポートチャネルインターフェイスとしてまとめられます。

 複数の物理インターフェイスを束ねて作成された仮想インターフェイスのことをポートチャネルと呼びます。

 ポートチャネルを生成した後に、設定を行う場合は、物理インターフェイスではなくポートチャネルに対して設定していくようになります。

 1つのポートチャネルとして、束ねる個々の物理インターフェイスは、すべて同じ設定にする必要があります。

L2のEtherChannel と L3のEtherChannel

 EtherChannelは、レイヤ2においても、レイヤ3においてもポートチャネルを作成することができます。

 活用するケースの多くは、レイヤ2におけるポートチャネルであるかと思われますが、レイヤ3においてもポートチャネルを作成するメリットがあるため、活用するケースも出てくるかと思われます。

 レイヤ3のポートチャネルにおいて、ルーティングプロトコルは、ポートチャネルを1つのリンクとして扱うため、ポートチャネルで障害が発生した場合、コンバージェンスの問題となるルーティングプロトコルの再計算による再収束が行われることがありません。

下表にL2のEtherChannel と L3のEtherChannelにおける相違点について、まとめます。

EtherChannelスイッチポート設定説明
L2switchport複数のL2物理ポートを論理インターフェイスとして束ねます。
L3no switchport複数のL3ルーテッドポートを論理インターフェイスとして束ねます。

EtherChannel のメリット

EtherChannel には、様々なメリットがあります。そのメリットを下表にまとめます。

一貫性の確保 設定は、ここの物理インターフェイスではなく、ポートチャネル(Port-Channel)上で行うため、リンク間の設定で一貫性を保つことができます。
既存ポートの活用より高速なスイッチを新たに購入したり、高価なモジュールを取り付けることなく、既存のポートを束ねることで、より高速なポートチャネルとしてアップグレードできます。
ロードバランシング 同じEtherChannelのリンク間でロードバランシングが行われます。機種に応じて、1つ以上のロードバランシング方式を実装できます。この方式には、送信元MACアドレスから送信先MACアドレス、または、送信元IPアドレスから宛先IPアドレスへのロードバランシンがあります。
1つの論理リンク STPにおいては、論理リンク1本のリンクと見なされるため、STPのスイッチングループを防ぐため、EtherChannelの全体をブロックするか、アクティブにします。
冗長性 物理リンクのうち1本に障害が発生したとしても残りの物理リンクで通信を続けることができます。そのため、冗長性とフォールトトレランスが強化されます。

実装の制限

EtherChannel には、下表に示す制限があります。

複数のタイプのインターフェイスを混在できない。 異なるタイプのインターフェイスをポートチャネルに混在できません。例えば、Fast EthernetとGigabit Ethernetを混在せせることができません。
最大8つの物理ポート 同じタイプのインターフェイスを最大8つまでで構成できます。スイッチ間のリンクで、Fast EtherChannelでは、最大800Mbps、Gigabit EtherChannelでは、最大8Gbpsの全二重通信を提供できます。
EtherChannelの最大数Catalyst2950、Catalyst 2960スイッチでは、最大6つのEtherChannelがサポートしています。
※グループ数とグループに所属させることができる物理ポート数は、機種によって違うため注意が必要です。
物理ポートの設定EtherChannelに所属させる物理ポートの設定は、Duplex、Speed、VLANなどを、あわせておく必要があります。
個別の設定ができない。EtherChannelに設定した内容は、EtherChannelに属するすべての物理インターフェイスに影響します。

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