IS-IS(隣接関係・DRの選出)
OSPFと同様に、IS-IS(Intermediate System to Intermediate System)もリンクステートルーティングプロトコルです。
OSPFと動作が似ています。近接ルータと隣接関係を結び、DRの選出も行われます。
IS-ISでは、デフォルトで10秒ごとに、Hello PDUを送信して隣接関係を結びます。
OSPFでは、Hello間隔とDead間隔が、同じでなければ隣接関係は、結べませんでした。
IS-ISでは、同じ間隔にする必要は、ありません。

IS-ISでは、Hello PDUに記載されているホールド時間を隣接ルータごとに利用するため、IS-ISルータごとに異なる、Hello間隔とDead間隔を設定することができます。
EIGRPでもHello間隔とDead間隔をそれぞれ異なる値に設定できます。
参考 → 「EIGRP(ハロー間隔・ホールドタイム)」
IS-ISでは、隣接関係を、レベル1、レベル2で結びます。
●レベル1隣接関係
L1ルータ同士、L1ルータとL1/L2ルータ間でレベル1タイプのHello PDUを交換します。
●レベル2隣接関係
L2ルータ同士、L2ルータとL1/L2ルータ間でレベル2タイプのHello PDUを交換します。
L1/L2ルータは、レベル1隣接関係とレベル2隣接関係を結ぶことになります。
IS-ISのDRの選出
IS-ISでも、OSPFと同様に、ブロードキャストマルチアクセスネットワークであれば、DRの選出が行われます。DRが選出することによって、リンクステートPDUを減らすことができます。
OSPFでは、DRがダウンするまで、DRの再選出は行われませんが、IS-ISでは、プライオリティの高いIS-ISがオンラインになるとDRの再選出が行われます。また、BDRの選出は行われません。
IS-ISでは、レベルごとに隣接関係が結ばれましたが、DRの選出もレベルごとに行われます。同じブロードキャストネットワークにレベル1のエリア、レベル2のエリアがある場合、DRは、それぞれのレベルで選出されます。
●DR選出のプロセス
IS-ISでもDR選出のプロセスが行われます。
OSPFの選出プロセスは、以下のように行われます。
<OSPFのDRの選出プロセス>
1.プライオリティ一番大きいルータがDRに選出される。
PRIORITY=0~255で、数値が大きいほど優先度が高くなります。値が0の場合はDRに選出されません。
2.プライオリティが同じときは、ROUTERIDが大きいルータから、DRに選出される。
ループバックインタフェースにIPアドレスが設定されていれば、ループバックインタフェースに振られたIPアドレスがROUTERIDになります。ループバックインタフェースは物理インタフェースより優先されます。
IS-ISでも、プライオリティを変更して、管理者がDR選出のプロセスに関与することができます。
IS-ISでのプライオリティのデフォルト値は、64です。手動で、0~127までの値を設定することができます。ちなみに、0を設定するとDRに選出されないようにできます。この辺りは、OSPFと似ています。
プライオリティは、レベルごとに設定します。
次の「IS-IS(NET・IS-IS設定コマンド)」では、ISOアドレッシング方式のNETについてとIS-ISの設定方を解説していきます。