無線LAN:シーケンス制御

無線LAN:シーケンス制御

 無線LANにおけるシーケンス制御は、データフレームの順序や完全性を確保するための仕組みです。主にフラグメント化されたフレームの再結合や、重複したフレームの破棄に使用されます。

 シーケンス制御は、4ビットのフラグメント番号と12ビットのシーケンス番号から構成されるフィールドを使用します。これらの番号は、データフレームのヘッダーに含まれています。

 フラグメント番号は、データフレームがフラグメント化(断片化)された場合に使用されます。フラグメント化は、データフレームが無線チャネルの最大サイズを超える場合に行われ、フレームを複数の断片に分割します。フラグメント番号は、フレームの断片が再結合される際に使用され、正しい順序でフレームを再構築するために必要です。

 シーケンス番号は、データフレームの重複を検出するために使用されます。送信元の無線LAN端末は、各データフレームに一意のシーケンス番号を割り当てます。受信側のアクセスポイントは、受け取ったフレームのシーケンス番号を確認し、重複したフレームを破棄します。また、シーケンス番号を使用して、正しい順序でフレームを再構築することも可能です。

 ACKフレームの役割も関連しています。無線LAN端末は、送信したデータフレームに対するACKフレームを待ちます。ACKフレームがアクセスポイントから受信されない場合、一定時間待った後に再送を試みます。再送時には、前回送信したフレームと同じシーケンス番号を使用します。アクセスポイントは、受け取ったフレームのシーケンス番号を見て、重複フレームを判断することができます。

 シーケンス制御によって、無線LANではデータフレームの順序が維持され、データの正確性が確保されます。フラグメント番号とシーケンス番号の使用により、フレームの断片の再結合や重複フレームの検出が行われ、データの信頼性が向上します。

また、シーケンス制御は、無線LANにおいて以下のような利点をもたらします。

  1. フレームの順序制御
     データフレームは無線チャネルを介して送信されるため、フレームの順序が狂うことがあります。シーケンス番号を使用することで、アクセスポイントはフレームの順序を正確に判断し、再構築することができます。これにより、データの正しい順序での受信が保証されます。
  2. フラグメント化と再結合
     データフレームが大きすぎて一度に送信できない場合、フラグメント化が行われます。フラグメント番号を使用することで、アクセスポイントはフラグメントを正しい順序で再結合し、元のデータフレームを再構築することができます。これにより、データの完全性が保たれます。
  3. 重複フレームの検出
     シーケンス番号を使用することで、アクセスポイントは重複したフレームを検出し、破棄することができます。これにより、重複したデータの受信や処理が回避され、ネットワークの効率性が向上します。

 シーケンス制御は、信頼性の高い無線LAN通信を実現するために重要です。フレームの順序制御やデータの完全性の確保は、ネットワークのパフォーマンスや応答性に直接影響を与えます。シーケンス番号とフラグメント番号の使用により、無線LANはデータの信頼性を高め、正確で効率的な通信を提供することができます。

 ただし、シーケンス制御はネットワークのオーバーヘッドを引き起こす場合があります。シーケンス番号やフラグメント番号を処理するための追加の処理や帯域幅の使用が必要となります。そのため、適切な設定と最適化が重要であり、ネットワークの要件や環境に応じた適切なシーケンス制御の設定が求められます。