無線LAN:WDSモード

無線LAN:WDSモード

 WDS(Wireless Distribution System)モードは、無線LAN(Wi-Fi)ネットワークにおいて異なるアクセスポイント(AP)間で通信を行うための仕組みです。WDSモードは、複数のアクセスポイントを接続し、拡張ネットワークを形成するために使用されます。

 WDSモードでは、各アクセスポイントが互いにリンクを確立し、データフレームを相互に転送することができます。データフレームは、ネットワーク上でデータを送受信するためのパケットであり、MACアドレスフィールドを含んでいます。

WDSモードでのフレームのMACアドレスフィールドには、以下の情報が含まれます。

  1. 1つ目のMACアドレスフィールド(宛先無線区間MACアドレス)
     このフィールドには、データフレームの宛先となるアクセスポイントのMACアドレスが設定されます。データフレームが特定のアクセスポイントに送信されることを示します。
  2. 2つ目のMACアドレスフィールド(送信元無線区間MACアドレス)
     このフィールドには、データフレームの送信元となるアクセスポイントのMACアドレスが設定されます。データフレームの送信元を識別するために使用されます。
  3. 3つ目のMACアドレスフィールド(宛先MACアドレス)
     このフィールドには、データフレームの宛先となるクライアントデバイスのMACアドレスが設定されます。データフレームが特定のクライアントデバイスに送信されることを示します。
  4. 4つ目のMACアドレスフィールド(送信元MACアドレス)
     このフィールドには、データフレームの送信元となるクライアントデバイスのMACアドレスが設定されます。データフレームの送信元を識別するために使用されます。
アクセスポイント1 → アクセスポイント2
MACアドレス1MACアドレス2MACアドレス3MACアドレス4
アクセスポイント2アクセスポイント1PC2PC1
アクセスポイント1 → アクセスポイント2

 WDSモードでは、アクセスポイント同士がお互いにデータフレームを転送するため、フレームのMACアドレスフィールドには上記の情報が含まれます。これにより、データフレームが正しい宛先に到達し、送信元が識別されることが保証されます。また、WDSモードは透過的なブリッジングを提供するため、異なるアクセスポイント間でネットワークセグメントを拡張することができます。

 WDSモードは、ワイヤレスネットワークのカバレッジを拡大するために使用されることがあります。たとえば、複数の建物が近接している場合や、建物内の信号強度が十分でない場合に、WDSモードを使用して異なるアクセスポイントを接続し、信号の届かないエリアをカバーすることができます。

 ただし、WDSモードはネットワークのパフォーマンスに影響を与える場合があるため、設定や運用には注意が必要です。適切なセキュリティ対策やネットワークの設定を行うことが重要です。