バッファオーバフロー

バッファオーバフロー

 バッファオーバフローは、プログラムのバッファに対して、そのサイズを超えたデータが書き込まれた場合に発生する脆弱性です。一般的には、プログラムが入力を受け取り、その入力を処理する際に発生します。

 バッファオーバフローが発生すると、不正なデータがプログラムのメモリに書き込まれ、プログラムの動作が不安定になるか、またはプログラムがクラッシュする可能性があります。また、攻撃者が意図的に不正なデータを送信することで、プログラムの制御を奪うことができます。

例えば、以下のようなC言語のプログラムがあるとします。

#include <stdio.h>
#include <string.h>

int main()
{
    char buffer[10];
    printf("Enter a string: ");
    gets(buffer);
    printf("You entered: %s\n", buffer);
    return 0;
}

 このプログラムでは、ユーザーから入力された文字列をgets関数を使ってbuffer配列に書き込み、その文字列を表示しています。しかし、このプログラムでは、buffer配列のサイズが10であり、それ以上の長さの文字列が入力されるとバッファオーバフローが発生します。

 攻撃者が意図的に長い文字列を入力することで、プログラムのメモリに不正なデータを書き込み、プログラムの動作を乱すことができます。また、攻撃者がコードを注入することで、プログラムの制御を奪うことができる場合があります。

バッファオーバフローを防ぐためには、以下のような対策が考えられます。

  • バッファのサイズを十分に大きくする。
  • ユーザーからの入力を受け取る際に、入力のサイズをチェックする。
  • 安全な関数を使う(例えば、fgetsなど)。
  • スタックの保護を有効にする(例えば、GCCの場合、-fstack-protectorオプションを指定する)。
  • プログラムのコードを静的に解析して、バッファオーバフローの可能性がある箇所を特定する。

バッファオーバーフローの攻撃手法には、以下のようなものがあります。

  1. スタックバッファオーバーフロー攻撃(Stack Buffer Overflow Attack)
     スタックに格納されるリターンアドレスや関数の引数などを上書きし、攻撃者が用意した任意のコードを実行する攻撃手法です。
  2. ヒープバッファオーバーフロー攻撃(Heap Buffer Overflow Attack)
    ヒープ領域に確保された領域を上書きし、任意のコードを実行する攻撃手法です。
  3. フォーマットストリング攻撃(Format String Attack)
    引数に渡されるフォーマット文字列のバグを利用し、メモリの読み取りや書き込みを行う攻撃手法です。

 これらの攻撃手法は、攻撃者が入力するデータを適切に検証しなかった場合や、プログラムが入力データの長さを正しく検証しなかった場合に発生します。適切な入力データ検証や、入力データの長さの検証、バッファの上限を超えないようなデータの受け入れなど、セキュアプログラミングの観点からは必要不可欠な対策です。また、最新のセキュリティアップデートやパッチを適用することも重要です。