VRRP(その1)

※Packet Tracer 8.1.1 では、VRRP をサポートしていないため、ここでは、実機で検証した内容を紹介します。

デフォルトゲートウェイを二重化するには、次のような方法があります。

  • HSRPを使う方法
  • VRRPを使う方法

ここでは、VRRPを紹介していきます。

 HSRPとVRRPは、どちらもデフォルトルートを冗長化するプロトコルで、ほぼ同じような機能があり、どちらを使用しても、デフォルトゲートウェイの二重化や、ロードバランシングを実現することができます。
※冗長化を実現するための仕組みや設定、細かな動作は異なります。

 HSRPは、Ciscoが独自に開発したプロトコルで、ベンダー独自の規格であるため、他社との互換性がありません。複数の他ベンダーが、このHSRPと同等なことを可能するために開発したがVRRPです。

一般的に、デフォルトゲートウェイの二重化には、VRRPが使用されています。

 もちろん、CiscoでもVRRPを実装しています。ただし、Ciscoに実装されているVRRPは、多少の機能拡張されているので、他ベンダー製機器との互換性には注意が必要です。

 VRRPを使ってルータを冗長化させた場合は、クライアントのデフォルトゲートウェイの設定を変更しなくても、自動的にRouterBを経由して通信が可能になります。

 その仕組みですが、VRRPでは、下の図のように複数のルータが1つのグループを構成し、仮想のIPアドレスとMACアドレスを持つ仮想ルータを作ります。仮想ルータは2台以上の物理ルータから構成されます。

 VRRPが動作している複数のルータのうち、通常、1台のルータがマスターになります。このルータをマスタールータと呼びます。

 このマスタールータが仮想ルータのIPアドレス、MACアドレス(マスタルータが代理でARP応答で答える)を利用して通信を行ないます。

 他のルータはバックアップとして動作し、マスタールータ異常時に備えて待機しています。この、ルータをバックアップルータと呼びます。

 マスタールータがダウンした場合、バックアップルータが速やかに、仮想IPアドレス、仮想MAC アドレスを引き継いで仮想ルータを存続させ動作させます。

 ホストの設定は、物理ルータのIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして設定するのではなく、仮想ルータのIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして設定します。

 上の図では、仮想IPアドレスZを指定します。そうすることによって、マスタールータがダウンしてもバックアップルータを経由することで通信を継続させることができます。

 HSRPとVRRPは、よく似ています。次の「VRRP(その2)」では、それぞれの違いを簡単にまとめ、VRRPの設定を行っていきます。

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