このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

マルチエリアOSPF(AS外部LSA)

 LSAタイプ5は、AS外部LSAとも言い、ASBRが生成します。ASBRは、非OSPFネットワークと接続するOSPFルータです。ASBRは、LSAタイプ5(AS外部LSA)を使って非OSPFネットワークの経路情報をOSPFドメインに通知します。

 LSAタイプ5で通知される情報は、非OSPFネットワークのネットワークアドレス、サブネットマスク、メトリック、転送アドレスです。ASBRは、OSPFと非OSPFを接続することになりますから、再配送の設定を行います。その際、シードメトリックを指定します。このシードメトリックがメトリックになります。

再配送に関しては、以下のコンテンツで解説しています。

ルート再配送(シードメトリック)

 AS外部ルートのメトリックは、固定で通知することも、増加させて通知させることもできます。デフォルトでは固定で通知されます。固定で通知されるルートには「E2」が、増加させて通知されるルートには「E1」とマークされます。再配送でメトリックのタイプを指定できます。

LSAタイプ5は、スタブエリアを除いて、OSPFドメイン全体に通知されます。

スタブエリアとは、外部ネットワークがデフォルトルートとして通知されるエリアのことです。

スタブエリアでは、LSAタイプ4、LSAタイプ5をブロックします。

つまり、スタブエリアでは、

LSAタイプ4:ASBRへの経路
LSAタイプ5:AS外部の経路

がブロックされます。

 LSAタイプ5で通知される情報は、非OSPFネットワークのネットワークアドレス、サブネットマスク、メトリック、転送アドレスです。 転送アドレス(Forward Address)には、「0.0.0.0」もしくは、転送先のネクストホップアドレスになります。

転送アドレスは、別のルータのIPアドレスを指定することで余計な追加ホップを避ることができます。

 ルータが、宛先の同じLSAタイプ5を受信した時、フォワーディングアドレスへのメトリックに基づいて比較を行います。小さいメトリックのフォワーディングアドレスを持つLSAがルーティング テーブルの中に追加されます

 転送アドレス(Forward Address)がどのように決定されるのかは、複数の条件から成り立ちます。詳細については、専門書やCiscoのサイトなどで調べてみてください。

まず、転送アドレス(Forward Address)が、「0.0.0.0」となるケースを確認します。

そのあとに、転送先がネクストホップアドレスとなるように、ネットワークの構成を変更して確認していきます。

LSAタイプ5を確認する(その1)

LSAタイプ5のネットワークLSAを確認するには、「show ip ospf database external」で確認できます。

Router#show ip ospf database external

マルチエリアOSPF(ABR・ASBR混在設定例)」で構築したネットワークを利用して確認してみます。

LSAタイプ5をR6ルータで確認します。

「show ip ospf database external」コマンド

R6ルータで「show ip ospf database external」コマンドを実行します。

●R6ルータの「show ip ospf database external」コマンドの実行結果

R6#show ip ospf database external 

            OSPF Router with ID (172.22.0.1) (Process ID 1)

                Type-5 AS External Link States

  Routing Bit Set on this LSA
  LS age: 97
  Options: (No TOS-capability, DC)
  LS Type: AS External Link
  Link State ID: 172.17.0.0 (External Network Number )
  Advertising Router: 172.18.0.1
  LS Seq Number: 80000001
  Checksum: 0xb240
  Length: 36
  Network Mask: /16
        Metric Type: 2 (Larger than any link state path)
        TOS: 0
        Metric: 100
        Forward Address: 0.0.0.0
        External Route Tag: 0

  Routing Bit Set on this LSA
  LS age: 97
  Options: (No TOS-capability, DC)
  LS Type: AS External Link
  Link State ID: 172.16.0.0 (External Network Number )
  Advertising Router: 172.18.0.1
  LS Seq Number: 80000001
  Checksum: 0xbe35
  Length: 36
  Network Mask: /16
        Metric Type: 2 (Larger than any link state path)
        TOS: 0
        Metric: 100
        Forward Address: 0.0.0.0
        External Route Tag: 0

上の出力を見れば分かるように、ASBRのルータIDとASBRへのメトリック、転送アドレスが確認できます。

黄色のマーク部分に注目してみて下さい。

Forward Address: 0.0.0.0

転送アドレスが、「0.0.0.0」になっています。

LSAタイプ5を確認する(その2)

 次に、下図の構成となるネットワークを構築します。先ほどとの違いは、通知される転送アドレスが、転送先のネクストホップアドレスになるところです。

Forward Addressに「0.0.0.0」以外のIPアドレスがセットされる条件は、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • ASBRにおいて外部経路向けのインターフェイスでOSPFが有効にしている。
  • ASBRにおいて外部経路向けのインターフェイスが「passive-interface 」でない。
  • ASBRにおいて外部経路向けのインターフェイスのネットワークタイプが「point-to-point」でも「point-to-multipoint」でない。

しかし、Packet Tracerでは、検証することができませんでした。

次の「マルチエリアOSPF(NSSA外部LSA」では、LSAタイプ7について解説します。

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