このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

マルチエリアOSPF(ネットワークサマリーLSA)

 LSAタイプ3は、ネットワークサマリーLSAとも言います。エリア間のネットワークへの経路情報を通知します。LSAタイプ3は、エリア境界ルータ(ABR)が生成し、通知範囲はエリア内に限定されます。また、集約ルートを通知することができます。

 ネットワークサマリーLSAは、ネーミングから勘違いしやすいので注意が必要です。サマリー(summary)というネーミングから集約をイメージしてしまい、集約ルートのみをアドバタイズするものと勘違いを起こしやすいのです。

 紛らわしいネーミングですが、ネットワークサマリーLSAは、ルート集約をするためだけに生成されるものではありません。他のエリアを接続するためにABRを配置することによって生成されます。つまり、ネットワークサマリーLSAは、他のエリアのネットワークアドレスとサブネットマスクを通知するために作成されるのです。

 ネットワークサマリーLSAが通知する情報は、LSAタイプ1、LSAタイプ2と比べてとてもシンプルです。通知するのは、ネットワークアドレス、サブネットマスク、メトリックです。ABRは、接続するそれぞれのエリアに対して、通知される側のエリアにとって対向側のエリア情報を通知します。

ABRは、以下のように振舞います。

  • エリア0の経路情報をエリア1に通知する。
  • エリア1の経路情報をエリア0に通知する。

 ここで、大切なことがあります。ここだけに限りませんが、OSPFネットワークでは、IPアドレッシング計画が重要となります。

 せっかくABRで生成するネットワークサマリーLSAでルート集約を行うことができるのに、IPアドレッシングが階層的に割り当てられていなければ、マルチエリアOSPFのメリットが半減してしまいます。

 マルチエリアOSPFでは、ルート集約やデフォルトルートの通知でルーティングの負荷を軽減する仕組みが随所に仕掛けられています。そのメリットを最大限生かせるように、IPアドレッシング計画は、念入りに計画する必要があります。

LSAタイプ3のネットワークLSAを確認するには、「show ip ospf database summary」で確認できます。

Router#show ip ospf database summary

 「マルチエリアOSPF(ABR・ASBR混在設定例①:R1~R3)」で構築したネットワークを利用して確認してみます。

「show ip ospf database summary」コマンド

 リンクステートデータベース(LSDB)に格納されているネットワークサマリーLSA(LSAタイプ3)の内容を表示します。

R4ルータで「show ip ospf database summary」コマンドを実行します。

●R4ルータの「show ip ospf database summary」コマンドの実行結果

R4#show ip ospf database summary 

            OSPF Router with ID (172.20.0.1) (Process ID 1)

                Summary Net Link States (Area 0)

  LS age: 135
  Options: (No TOS-capability, DC, Upward)
  LS Type: Summary Links(Network)
  Link State ID: 172.21.0.0 (summary Network Number)
  Advertising Router: 172.21.0.1
  LS Seq Number: 80000001
  Checksum: 0x11c8
  Length: 28
  Network Mask: /16
        TOS: 0  Metric: 1

「show ip ospf database」コマンド

 リンクステートデータベース(LSDB)を表示します。LSDBを表示して、データベース内にある情報を把握するには、「show ip ospf database」コマンドを使用します。

Router#show ip ospf database

●Router_D上での「show ip ospf database」コマンドの実行結果

R4#show ip ospf database 
            OSPF Router with ID (172.20.0.1) (Process ID 1)

                Router Link States (Area 0)

Link ID         ADV Router      Age         Seq#       Checksum Link count
172.21.0.1      172.21.0.1      184         0x80000003 0x004403 1
172.18.0.1      172.18.0.1      184         0x80000003 0x004d04 1
172.20.0.1      172.20.0.1      184         0x80000005 0x00b104 2
172.19.0.1      172.19.0.1      184         0x80000005 0x00912a 2

                Net Link States (Area 0)
Link ID         ADV Router      Age         Seq#       Checksum
172.20.0.2      172.21.0.1      184         0x80000001 0x00bc2e
172.18.0.2      172.19.0.1      184         0x80000001 0x00e709
172.19.0.2      172.20.0.1      184         0x80000001 0x00cd20

                Summary Net Link States (Area 0)
Link ID         ADV Router      Age         Seq#       Checksum
172.21.0.0      172.21.0.1      184         0x80000001 0x0011c8

                Type-5 AS External Link States
Link ID         ADV Router      Age         Seq#       Checksum Tag
172.17.0.0      172.18.0.1      228         0x80000001 0x00b240 0
172.16.0.0      172.18.0.1      228         0x80000001 0x00be35 0

上の黄色のマーク部分は、LSAタイプ3の情報を示しています。

ルーティングテーブルを確認します。

LSAタイプ3をもとに算出されたルートには、ルーティングテーブルで「O IA」でマークされます。

R4ルータで「show ip route」コマンドを実行します。

●R4ルータのの「show ip route」コマンドの実行結果

R4#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP
       i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area
       * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR
       P - periodic downloaded static route

Gateway of last resort is not set

O E2 172.16.0.0/16 [110/100] via 172.19.0.1, 00:05:57, GigabitEthernet0/0
O E2 172.17.0.0/16 [110/100] via 172.19.0.1, 00:05:57, GigabitEthernet0/0
O    172.18.0.0/16 [110/2] via 172.19.0.1, 00:05:57, GigabitEthernet0/0
     172.19.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C       172.19.0.0/16 is directly connected, GigabitEthernet0/0
L       172.19.0.2/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0
     172.20.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C       172.20.0.0/16 is directly connected, GigabitEthernet0/1
L       172.20.0.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/1
O IA 172.21.0.0/16 [110/2] via 172.20.0.2, 00:05:57, GigabitEthernet0/1

上の黄色のマークの「O IA」は、他のエリア内のルートを意味しています。

次の「マルチエリアOSPF(ASBRサマリーLSA)」では、LSAタイプ4について解説します。

関連コンテンツ