シングルモードファイバとマルチモードファイバ

シングルモードファイバとマルチモードファイバ

 シングルモードファイバとマルチモードファイバは、光ファイバ通信で使用される2つの主要なファイバタイプです。以下でそれぞれの特徴について詳しく説明します。

  1. シングルモードファイバ(Single Mode Fiber)
     シングルモードファイバは、コア(光を伝送する中心部)の直径が非常に小さいファイバです。光はシングルモードファイバ内で直線的に伝播し、1つの伝送モード(光ビームのパス)を持ちます。シングルモードファイバは、優れた伝送性能と高い伝送距離を提供します。

主な特徴:

  • コア直径: 8~10マイクロメートル(μm)
  • 伝送モード: 1つの伝送モード
  • 伝送距離: 長距離(数十キロメートルから数百キロメートル)
  • 使用波長: 1310ナノメートル(nm)または1550nm
  • 用途: 長距離通信、光ファイババックボーンネットワーク、光ファイバ接続ネットワーク

シングルモードファイバは、高い伝送品質と帯域幅を提供するため、長距離通信や高速データ伝送に適しています。

  1. マルチモードファイバ(Multimode Fiber)
     マルチモードファイバは、コアの直径が比較的大きく、光が複数の異なるモードで伝播するファイバです。コア内で光が反射し、多重パスが形成されます。マルチモードファイバは、一般的に短距離通信やローカルエリアネットワーク(LAN)などの近距離通信に使用されます。

主な特徴:

  • コア直径: 50マイクロメートル(μm)または62.5μm
  • 伝送モード: 複数の伝送モード
  • 伝送距離: 短距離(数百メートルから数キロメートル)
  • 使用波長: 850nmまたは1300nm
  • 用途: LAN、データセンター内の短距離通信、ビル間通信など

 マルチモードファイバは、低コストで一般的に使用されるため、LAN環境や短距離通信に適しています。ただし、長距離や高速伝送が必要な場合は、シングルモードファイバが適しています。

 シングルモードファイバとマルチモードファイバの選択は、通信距離、伝送速度、予算、システム要件に基づいて行われる必要があります。

以下は、シングルモードファイバとマルチモードファイバの特徴を比較した表です。

特徴シングルモードファイバマルチモードファイバ
コア直径8〜10μm50μmまたは62.5μm
伝送モード1つの伝送モード複数の伝送モード
伝送距離長距離(数十キロメートルから数百キロメートル)短距離(数百メートルから数キロメートル)
使用波長1310nmまたは1550nm850nmまたは1300nm
用途長距離通信、光ファイババックボーンネットワーク、光ファイバ接続ネットワークLAN、データセンター内の短距離通信、ビル間通信など
主な利点高い伝送品質、高速データ伝送に適している低コスト、一般的に使用される
主な制約コストが高い、取り扱いが繊細伝送距離や速度に制約がある
シングルモードファイバとマルチモードファイバの比較

 この表は、シングルモードファイバとマルチモードファイバの主な特徴を要約しています。それぞれのファイバタイプには独自の利点と制約があり、適切な選択は通信要件や予算によって異なります。