SDN:オーバーレイ型とホップバイホップ型

SDN:オーバーレイ型とホップバイホップ型

 オーバーレイ型SDNとホップバイホップ型SDNは、ソフトウェア定義ネットワーキング(Software-Defined Networking, SDN)の実装アプローチの2つの主要なタイプです。以下でそれぞれの詳細を説明します。

  1. オーバーレイ型SDN
     オーバーレイ型SDNでは、物理的なネットワークインフラストラクチャの上に仮想的なネットワークを構築します。スイッチ間の通信は、仮想的なトンネルを介して行われます。一般的に、オーバーレイネットワーキングにはVXLAN(Virtual Extensible LAN)などのトンネリングプロトコルが使用されます。

オーバーレイ型SDNの特徴は次のとおりです:

  • 物理ネットワークの詳細に関わらず、仮想的なトンネルを介して通信が行われるため、ネットワークの抽象化と柔軟性が向上します。
  • 仮想ネットワークは物理ネットワークをオーバーレイする形で構築されるため、既存のネットワークインフラストラクチャに変更を加えずに実装できます。
  • オーバーレイネットワークは、複数の物理ネットワークを接続することができ、ネットワーク仮想化やマルチテナント環境の実現に適しています。
  1. ホップバイホップ型SDN
     ホップバイホップ型SDNでは、物理的なネットワークインフラストラクチャの各スイッチで制御プレーン(control plane)とデータプレーン(data plane)が分離されます。制御プレーンはSDNコントローラと通信し、経路情報(フローエントリ)を受け取ります。一般的に、OpenFlowプロトコルが制御プレーンとスイッチ間の通信に使用されます。

ホップバイホップ型SDNの特徴は次のとおりです:

  • スイッチごとに制御プレーンが存在し、SDNコントローラとの間で経路情報を共有するため、ネットワークの制御が分散されます。
  • フローエントリに基づいてパケットを処理するため、各スイッチは自律的に転送決定を行います。SDNコントローラはフローエントリの設定や更新を行うことでネットワークの動作を制御します。
  • ホップバイホップ型SDNでは、ネットワークの状態情報やフローエントリがスイッチ間で分散して管理されます。これにより、ネットワークの柔軟性とスケーラビリティが向上します。
  • ホップバイホップ型SDNは、ネットワークのトラフィック制御や品質保証など、より高度なネットワーク制御機能を提供することができます。

 オーバーレイ型SDNとホップバイホップ型SDNは、異なるアプローチを取っていますが、共通の目標はネットワークの柔軟性、効率性、および制御の向上です。どちらのアプローチが最適かは、特定のネットワーク環境や要件によって異なる場合があります。