VXLANとは

VXLANとは

 VXLAN(Virtual Extensible LAN)は、仮想的な拡張LANを提供するためのネットワーキング技術です。VXLANは、オーバーレイ型SDNや仮想化環境におけるネットワーク仮想化を実現するために使用されます。

以下にVXLANの特徴と動作原理を説明します。

  1. 拡張LANの提供
     VXLANは、複数の物理ネットワーク上にある仮想マシン(VM)やコンテナなどのエンドポイントをまるで同じローカルネットワーク上にあるかのように接続することができます。これにより、仮想マシンやコンテナが物理的なネットワークの制約から解放され、柔軟性の高いネットワーク構築が可能となります。
  2. 仮想的なトンネル
     VXLANは、物理ネットワークの上に仮想的なトンネルを構築します。このトンネルはVXLANヘッダを追加することで実現されます。VXLANヘッダには、オリジナルのパケットの情報に加えて、VXLANネットワーク内での仮想マシンの識別情報(VNI:Virtual Network Identifier)などが含まれます。
  3. ルーティングとスイッチング
     VXLANでは、仮想マシンやコンテナが送信したパケットは、VXLANヘッダを追加した後に物理ネットワーク上に送信されます。受信側では、VXLANヘッダを解析し、適切な仮想マシンやコンテナにパケットを転送します。これにより、異なる物理ネットワーク上にある仮想マシンやコンテナ間で通信を行うことができます。
  4. SDNとの統合
     VXLANは、オーバーレイ型SDNの実装に使用されることが一般的です。SDNコントローラは、VXLANヘッダを解析してVNIなどの情報を把握し、ネットワーク内の仮想マシンやコンテナの経路制御やポリシー適用を行うことができます。これにより、ネットワークの柔軟性やセキュリティが向上します。

VXLANは、以下のような利点を提供します。

  1. スケーラビリティ
     VXLANは、16ビットのVNI(Virtual Network Identifier)を使用してネットワークセグメントを識別します。VNIの範囲は、約1600万の仮想ネットワークをサポートするため、大規模なクラウド環境やマルチテナントネットワークに適しています。
  2. オーバーレイネットワークの柔軟性
     VXLANは、物理ネットワークの詳細を隠蔽し、仮想ネットワークをオーバーレイする形で構築します。これにより、既存のネットワークインフラストラクチャに変更を加えずに、仮想ネットワークを作成できます。また、VXLANは異なる物理ネットワークを接続するため、ハイブリッドクラウド環境やデータセンター間の接続にも使用されます。
  3. セキュリティと分離
     VXLANは、仮想ネットワーク間のトラフィックを物理的に分離することができます。異なるテナントや顧客間の通信を分離することで、セキュリティとプライバシーを確保します。
  4. 標準化と相互運用性
     VXLANは、IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化されており、多くのネットワークベンダーがVXLANをサポートしています。これにより、異なるベンダーのネットワーク機器やクラウドプロバイダ間での相互運用性が確保されます。

 VXLANは、仮想化環境やクラウドネットワーキングにおいて、スケーラビリティ、柔軟性、セキュリティの向上を実現するための重要な技術です。