無線LAN:SSID
無線LAN:SSID
無線LANのSSID(Service Set Identifier)は、無線ネットワークを一意に識別するための文字列です。SSIDはアクセスポイント(またはルーター)に設定されており、周囲の無線LANネットワークと区別するために使用されます。
SSIDは、無線LANネットワークの名前として表示され、ユーザーが接続する際に特定のネットワークを選択するために使用されます。スマートフォンやコンピュータなどのクライアントデバイスは、周囲のアクセスポイントから送信されるビーコンフレームを受信し、その中に含まれるSSID情報を確認します。
クライアントデバイスは、受信したビーコンに含まれるSSIDを使用して、周囲のネットワークをリストアップし、ユーザーに表示します。ユーザーは自身が接続したいネットワークのSSIDを選択し、プローブ要求(Probe Request)をアクセスポイントに送信します。このプローブ要求には、クライアントデバイスの情報と接続を希望するSSIDが含まれています。
アクセスポイントは、プローブ要求を受信すると、その要求に対するレスポンスとしてプローブ応答(Probe Response)を送信します。プローブ応答には、アクセスポイントの情報とSSIDが含まれており、クライアントデバイスはこれを受け取ってアソシエーション(関連付け)を開始します。
SSIDは通常、ユーザーが設定することができます。しかし、セキュリティ上の理由から、SSIDは一意でなければなりません。同じSSIDを持つ異なるネットワークが近くに存在する場合、クライアントデバイスはそれらを区別するために他の要素(例:MACアドレス)を使用します。
SSIDは、無線LANのアソシエーションフェーズにおいて非常に重要な役割を果たします。正しいSSIDを選択することで、クライアントデバイスは適切なアクセスポイントと関連付けを行い、無線LANネットワークへの接続を確立することができます。
SSIDにはいくつかの特徴があります。
- ユニーク性
同じ場所に複数の無線LANネットワークが存在する場合、それぞれのネットワークは異なるSSIDを持つ必要があります。これにより、クライアントデバイスが正しいネットワークに接続することができます。 - 可視性
アクセスポイントは定期的にビーコンフレームを送信し、周囲のクライアントデバイスに自身のSSIDを公開します。クライアントデバイスはこれらのビーコンを受信し、ユーザーに対して利用可能なネットワークを表示します。 - 隠れSSID
セキュリティの観点から、一部の無線LANネットワークではSSIDを隠す設定を行うことがあります。これは「隠れSSID」と呼ばれます。隠れSSIDの場合、アクセスポイントはビーコンフレームを送信せず、クライアントデバイスは直接の接続要求を行う必要があります。 - セキュリティ
SSIDはネットワークの識別子としての役割を果たすだけでなく、セキュリティにも関連しています。一部の無線LANネットワークでは、SSIDに基づいてアクセス制御や暗号化の設定を行います。例えば、WPA2やWPA3といったセキュリティプロトコルでは、正しいSSIDを知っているクライアントデバイスのみがネットワークに接続できるようになっています。
重要なポイントとして、SSIDはネットワークの可視性や接続の便宜性を提供する一方で、セキュリティ上のリスクも存在します。一般的なセキュリティのために、SSIDをデフォルトのままにせず、一意かつ予測困難な名前に変更することが推奨されます。また、強力なセキュリティプロトコル(例:WPA2やWPA3)と組み合わせて使用することも重要です。
以上が、無線LANのSSIDについての詳しい解説です。SSIDは無線LANネットワークの識別や接続のために重要な要素であり、適切な設定とセキュリティ対策が必要です。