CSMA/CA
CSMA/CA
無線LANにおける通信方式は、主にCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれる方式を使用しています。CSMA/CAは、無線LAN端末が同じチャネルを共有しながら通信するためのアルゴリズムです。

CSMA/CAでは、以下の手順で通信が行われます。
- クリアチャネル試験(Clear Channel Assessment, CCA)
無線LAN端末は、通信チャネルが利用可能かどうかを確認します。チャネルが利用可能でない場合、他の端末が通信中であると判断し、待機します。 - バックオフ時間(Backoff Time)
通信チャネルが利用可能であることを確認した端末は、一定のランダムな時間(バックオフ時間)だけ待機します。これにより、他の端末との衝突を回避するための時間的なオフセットを作ります。 - 送信(Transmission)
バックオフ時間が終了した端末は、データを送信します。送信中は、他の端末は受信を行わずに待機します。 - 確認応答(Acknowledgment, ACK)
受信端末は、正常にデータを受信したことを送信端末に確認するためのACKフレームを返します。ACKフレームが受信されない場合、送信端末はデータの再送信を試みます。
CSMA/CAでは、衝突を回避するためにバックオフ時間がランダムに選択されるため、複数の端末が同時に通信を試みても、競合が発生する確率を低減します。しかし、無線LANの半二重通信では、送信と受信が同時に行われることはできず、端末は送信または受信モードに切り替える必要があります。
CSMA/CAは、無線環境での信号衝突を最小限に抑えるための効果的な方法であり、多くの無線LAN規格で使用されています。ただし、通信の遅延やスループットの低下が発生する可能性があるため、高密度なネットワーク環境では競合が増え、性能が低下することがあります。このため、無線LAN技術の進歩により、効率的なチャネルアクセス手法やMIMO(Multiple Input Multiple Output)などの技術が導入されています。