10BASE-T(IEEE802.3i)

10BASE-T(IEEE802.3i)

 10BASE-Tは、IEEE 802.3i規格に基づくEthernetの一種であり、最初の商用化された10メガビット/秒(Mbps)のイーサネット規格です。以下に10BASE-Tについての詳細を説明します。

  1. 伝送速度とベースバンド
    • 10BASE-Tは、10Mbps(メガビット/秒)の伝送速度を提供します。これは、データをデジタル形式でベースバンド(基頻)で伝送することを意味します。つまり、アナログ信号を使わずにデジタル信号を直接伝送します。
  2. ケーブルと伝送媒体
    • 10BASE-Tは、ツイストペアケーブルを使用してデータを伝送します。通常は、カテゴリ3以上のツイストペアケーブルが使用されます。ケーブルの最大長は100メートルです。
  3. 信号の伝送方式
    • 10BASE-Tでは、ベースバンド信号をマンチェスターコーディングと呼ばれる方法で伝送します。この方式では、データのビットパターンを変化させることでクロックを回復し、データの正確な伝送を実現します。
  4. スター型トポロジ
    • 10BASE-Tネットワークは、スター型の物理的なトポロジを採用しています。これは、各デバイスが中央のハブまたはスイッチに接続される形式です。中央のハブまたはスイッチがデータを受け取り、他のデバイスに転送する役割を果たします。
  5. CSMA/CDアクセス方式
    • 10BASE-Tでは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)と呼ばれるアクセス方式が使用されます。これは、デバイスがデータを送信する前に回線が空いているかを確認し、衝突が発生した場合には検出して再送信する方法です。
  1. ハーフデュプレックス通信
    • 10BASE-Tでは、ハーフデュプレックス通信が使用されます。これは、データの送信と受信が同時に行われることはなく、送信と受信が交互に行われる方式です。データの送信中には、他のデバイスは待機し、送信が完了した後にデータを送信できます。
  1. 廃止と後継規格
    • 10BASE-Tは、より高速なイーサネット規格(100BASE-TX、1000BASE-Tなど)の登場により、徐々に使用が減少しました。しかし、一部のレガシーシステムや特定の環境ではまだ使用されている場合があります。

 10BASE-Tは、最初の商用化された10Mbpsイーサネット規格として、イーサネット技術の普及に重要な役割を果たしました。現在では、より高速なイーサネット規格が主流となっていますが、10BASE-Tはネットワークの基礎となる技術としての重要性を持っています。