媒体アクセス制御

媒体アクセス制御

ネットワークにおいて、媒体アクセス制御(MAC: Media Access Control)とは、複数のデバイスが同じ媒体を共有する場合に、どのデバイスが優先的に媒体を使うかを制御する仕組みのことです。媒体とは、LANケーブルやWi-Fiなどの通信媒体を指します。

媒体アクセス制御には、以下のような方式があります。

  1. CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)
     CSMA/CDは、EthernetやFast Ethernetなどで使用される方式です。デバイスが媒体を使用する前に、媒体が空いているかどうかを確認します。複数のデバイスが同時に媒体を使用しようとした場合に、衝突が発生することがあります。その場合には、デバイスはランダムな時間を待ってから再度アクセスを試みます。
  2. CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)
     CSMA/CAは、Wi-Fiなどで使用される方式です。デバイスが媒体を使用する前に、媒体が空いているかどうかを確認します。ただし、Wi-Fiでは、他のデバイスの信号の影響で媒体の使用状況が正確に検知できないため、予測的に媒体を使用する方法が採用されています。また、データの送信前に、事前にコントロールフレームを送信して媒体の使用権を取得する方式もあります。
  3. TDMA(Time Division Multiple Access)
     TDMAは、媒体を一定の時間スロットに分割して、各デバイスが媒体を独占的に使用する方式です。各デバイスには、媒体を使用する時間帯が割り当てられています。媒体の使用権を独占的に持つため、衝突が発生しません。
  4. FDMA(Frequency Division Multiple Access)
     FDMAは、媒体を一定の周波数帯域に分割して、各デバイスが周波数帯域を独占的に使用する方式です。各デバイスには、周波数帯域が割り当てられています。媒体の使用権を独占的に持つため、衝突が発生しません。

以上のように、媒体アクセス制御には、CSMA/CDやCSMA/CA、TDMA、FDMAなどの方式があります。

また、媒体アクセス制御には、以下のようなプロトコルがあります。

  1. ARP(Address Resolution Protocol)
     ARPは、IPアドレスからMACアドレスを取得するためのプロトコルです。デバイスが通信する前に、相手のMACアドレスを取得する必要があります。
  2. RARP(Reverse Address Resolution Protocol)
     RARPは、MACアドレスからIPアドレスを取得するためのプロトコルです。古いプロトコルで、現在ではあまり使われていません。
  3. DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)
     DHCPは、ネットワーク上のデバイスにIPアドレスなどのネットワーク設定を自動的に割り当てるためのプロトコルです。デバイスがネットワークに接続すると、DHCPサーバーからIPアドレスやDNSサーバーのアドレスなどを取得します。
  4. NAT(Network Address Translation)
     NATは、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換するためのプロトコルです。プライベートIPアドレスは、インターネット上ではルーティングされないため、グローバルIPアドレスに変換することで、インターネット上で通信することができます。

以上のように、ネットワークにおける媒体アクセス制御には、プロトコルによって様々な制御が行われます。