RTS/CTS方式

RTS/CTS方式

 RTS/CTS(Request to Send/Clear to Send)は、ネットワーク通信におけるフロー制御手法の一つです。特に無線LANにおいて使用され、データの衝突や欠損を防止するために、通信の準備を確認する役割を果たします。

 RTS/CTS方式では、送信側のノードがデータを送信する前に、相手側に通知するためにRTSフレームを送信します。このRTSフレームには、送信するデータの長さなどの情報が含まれます。相手側のノードは、RTSフレームを受信すると、自分が受信可能であることを示すCTS(Clear to Send)フレームを送信します。CTSフレームを受信した送信側のノードは、相手側が受信可能であることを確認し、データを送信することができるようになります。

 このようにRTS/CTS方式では、データの送信前に通信の準備を確認することで、データの衝突や欠損を防止します。送信側がデータを送信する前に相手側の受信状態を確認するため、データの衝突を回避することができます。また、送信側はCTSフレームを受信することで、データが受信側に到達する保証が得られます。これにより、データの欠損を防止することができます。

 ただし、RTS/CTS方式は通信の効率を低下させる可能性があります。RTSフレームを送信するための時間や、CTSフレームを返信するための時間が発生するため、通信の遅延が生じることがあります。また、RTS/CTS方式は通信が混雑している場合や衝突や欠損が発生しやすい状況で効果的です。通信がスムーズに行われる場合や、通信があまり行われない場合には、RTS/CTS方式を使用しない方が効率的な場合があります。

 総括すると、RTS/CTS方式は無線LANなどの通信において、データの衝突や欠損を防止するためのフロー制御手法です。効果的な使用方法は、通信が混雑している場合や衝突が発生しやすい状況での通信です。しかし、通信効率の低下が生じることがあるため、通信がスムーズに行われる場合や通信量が少ない場合には、RTS/CTS方式を使用しない方が効率的です。


RTS/CTS方式の利点としては、以下のような点が挙げられます。

  1. 衝突の回避
     RTS/CTS方式は、データの送信前に通信の準備を確認することで、データの衝突を回避します。送信側がRTSフレームを送信し、CTSフレームを受け取ることで、送信側はデータ送信のタイミングを調整することができます。これにより、複数のノードが同時にデータを送信することによる衝突を防止します。
  2. データの完全性の確保
     RTS/CTS方式により、送信側はCTSフレームを受信することで相手側が受信可能であることを確認できます。送信側はデータ送信前に相手側の準備が整っていることを確認するため、データの欠損を防止することができます。これにより、通信の信頼性が向上します。
  3. 長いデータフレームの管理
     RTSフレームには送信するデータの長さなどの情報が含まれています。これにより、送信側と受信側はデータの長さや処理時間を把握することができます。特に長いデータフレームの場合、RTS/CTS方式を使用することで、データの効率的な管理が可能となります。

一方、RTS/CTS方式の欠点としては、以下のような点があります。

  1. 遅延の増加
     RTS/CTS方式では、RTSフレームの送信やCTSフレームの返信のための時間が必要です。このため、通信の遅延が生じる可能性があります。特に通信が混雑している場合や、RTS/CTSフレームのやりとりが頻繁に行われる場合には、遅延が顕著になる場合があります。
  2. 通信効率の低下
     RTS/CTS方式は通信効率を低下させることがあります。通信がスムーズに行われる場合や通信量が少ない場合には、RTS/CTSフレームのやりとりが必要ないため、通信効率が向上します。したがって、通信状況や環境によっては、RTS/CTS方式を使用せずに他の方式を選択する方が効率的です。

 RTS/CTS方式は、無線LANなどの環境で通信の衝突や欠損を防止するために有効なフロー制御手法です。ただし、通信効率の低下や遅延が考慮される必要があります。