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応用問題01:スタティックNATの設定

前提知識

ここでは、スタティックNATを設定します。NATについては、以下のリンク先で解説しています。

NATの概要NATの種類
NAT(スタティックNAT)NAT(ダイナミックNAT)
NAT(PAT オーバーローディング)NATの検証コマンド

問題

 IPv4におけるネットワークでは、インターネット側では、パブリックアドレスを、組織内部のネットワークでは、プライベートアドレスを使用します。

 内部のネットワーク上に配置するServer1をインターネット上に公開するためには、サーバにパブリックアドレスと、プライベートアドレスを割り当て、インターネット側からアクセスできるようにインターネットと内部の教境界に配置するルータに、スタティックNATを設定する必要があります。

 境界ルータであるR1ルータにスタティックNATの設定を行ってください。R1ルータのスタティックNAT以外のその他のすべて設定は既に済ませています。

ネットワークの構成は、下図のとおりです。

アドレッシングテーブル
デバイス名インターフェイスIPv4アドレスデフォルトゲートウェイ
R1G0/0/0
S0/1/0
172.16.0.1/24
100.100.100.1/30
N/A
N/A
R2S0/1/0
G0/0/0
G0/0/1
100.100.100.2/30
10.0.0.1/24
192.168.1.1/24
N/A
N/A
N/A
PC1F010.0.0.2/2410.10.10.1
L1F0192.168.1.2/24192.168.1.1
Server1F0172.16.0.100/24172.16.0.1
アドレッシングテーブル

ステップ1:ネットワーク構成の確認

・R2ルータのルーティングテーブルを確認します。

R2#show ip route

●R2の「show ip route」の出力

R2#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP
       i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area
       * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR
       P - periodic downloaded static route

Gateway of last resort is not set

     10.0.0.0/8 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C       10.0.0.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/0/0
L       10.0.0.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0/0
     100.0.0.0/8 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C       100.100.100.0/30 is directly connected, Serial0/1/0
L       100.100.100.2/32 is directly connected, Serial0/1/0
     192.168.1.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C       192.168.1.0/24 is directly connected, GigabitEthernet0/0/1
L       192.168.1.1/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0/1
S    200.200.200.0/24 is directly connected, Serial0/1/0

上の黄色のマークに注目します。Server1に向けて、外向けのOutsideネットワーク宛のスタティックルートがあります。

・R2のコンフィグを確認します。

R2#show running-config

●R2の「show running-config 」の出力

R2#show running-config 
!
hostname R2
!
interface GigabitEthernet0/0/0
 ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
 ip nat inside
 duplex auto
 speed auto
!
interface GigabitEthernet0/0/1
 ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
 ip nat inside
 duplex auto
 speed auto
!
interface Serial0/1/0
 ip address 100.100.100.2 255.255.255.252
 ip nat outside
!
ip nat inside source list 1 interface Serial0/1/0 overload
ip route 200.200.200.0 255.255.255.0 Serial0/1/0 
!
access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255
access-list 1 permit 10.0.0.0 0.0.0.255
!
end

上の黄色のマークに注目します。PATの設定です。

 Ciscoでは、ポート番号を利用して変換テーブルを識別するため、PAT(Port Addres Translation)、NATオーバーローディング、またはオーバーローディングと呼んでいます。一般的には、この機能のことをIPマスカレードまたは、NAPT(Network Address Port Translation)と呼ばれています。 

 なぜ、PATの設定を行っているのかですが、PC1もL1もプライベートアドレスです。インターネットに接続するには、パブリックアドレスでなければならないからです。

・PC1からServer1へ ping を行います。

シミュレーションモードに切り替えます。シミュレーションボタンをクリックします。

「Show All/None」をクリックして、監視するプロトコルのチェックを、すべて外します。

「Edit Filters」ボタンをクリックして「ICMP」にチェックを入れます。

PC1の「Command Prompt」で、以下のコマンドを実行します。

C:>ping 200.200.200.1

「Play Controls」の「▶|」ボタンを数回クリックします。

R1ルータまで到達できることが確認できます。

 R1ルータまで、到達できるのは、R2に「200.200.200.0/24」のルートがあるからです。そして、なぜ、R1から内部のサーバに到達できないのかと言えば、スタティックNATで内部に配置されているServer1へPAT変換がなされていないからです。

リアルタイム・モードに切り替えます。

「Realtime」ボタンをクリックします。

ステップ2:スタティックNATの設定

・Q1:R1ルータにスタティックNATの設定を行います。Server1の内部アドレスを外部アドレスにマッピングするスタティックNAT変換を指定します。

・Q2:スタティックNAT変換の内部と外部のインターフェイスの設定を行います。

※解答例は、解説動画の中にあります。

ステップ3:動作検証

・PC1からServer1へ ping を行います。

C:>ping 200.200.200.1

ping は、成功します。

・PC1からServer1へWeb接続を行います。

「Web Browser」を起動して、URLに「http://200.200.200.1」と入力します。

・同様にL1からもServer1へpingとWeb接続を行います。

ping もWeb接続も成功します。

show ip nat translations

・NAT変換テーブルを表示します。

R1#show ip nat translations

●R1の「show ip nat translations 」の出力

R1#show ip nat translations 
Pro  Inside global     Inside local       Outside local      Outside global
icmp 200.200.200.1:13  172.16.0.100:13    100.100.100.2:13   100.100.100.2:13
icmp 200.200.200.1:14  172.16.0.100:14    100.100.100.2:14   100.100.100.2:14
icmp 200.200.200.1:15  172.16.0.100:15    100.100.100.2:15   100.100.100.2:15
icmp 200.200.200.1:16  172.16.0.100:16    100.100.100.2:16   100.100.100.2:16
icmp 200.200.200.1:1   172.16.0.100:1     100.100.100.2:1    100.100.100.2:1
icmp 200.200.200.1:2   172.16.0.100:2     100.100.100.2:2    100.100.100.2:2
icmp 200.200.200.1:3   172.16.0.100:3     100.100.100.2:3    100.100.100.2:3
icmp 200.200.200.1:4   172.16.0.100:4     100.100.100.2:4    100.100.100.2:4
---  200.200.200.1     172.16.0.100       ---                ---
tcp 200.200.200.1:80   172.16.0.100:80    100.100.100.2:1025 100.100.100.2:1025

show ip nat statistics

NATアドレス変換の統計情報を表示します。

R1#show ip nat statistics

●R1の「show ip nat statistics」の出力

R1#show ip nat statistics 
Total translations: 10 (1 static, 9 dynamic, 9 extended)
Outside Interfaces: Serial0/1/0
Inside Interfaces: GigabitEthernet0/0/0
Hits: 34  Misses: 22
Expired translations: 13
Dynamic mappings:

解答

設定の解答例は、この問題を解説しているYouTube動画の中で確認してください。