このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。
ルート再配送(シードメトリック)
「ルート再配送(再配送の設定)」で使用したネットワーク構成図を使用します。
「ルート再配送(再配送の設定)」でルートの再配送の設定を行いましたが、思ったような再配送ができませんでした。

そもそも
ルーティングプロトコルによってメトリックが違ってくるわけですから、ルーティングプロトコルにはに互換性がありません!
そこで、管理者がルート再配送を行う際に、メトリックを調整するのです。ルーと再配送すると時に与えるメトリックのことをシードメトリックと言います。
シードメトリックのデフォルト値は以下の表のようになっています。
シードメトリックのデフォルト値
| ルート再配送先のルーティングプロトコル | シードメトリックのデフォルト値 | 
| RIP | 無限大 | 
| IGRP/EIGRP | 無限大 | 
| OSPF | 20、BGPの場合は1 | 
再配布を設定する際、シードメトリックの指定を省略するとデフォルトのシードメトリック値が使われることになります。
RIP、IGRP、EIGRPのデフォルトのシードメトリック値は、無限大になっています。つまり、シードメトリック値の指定を忘れてしまうと到達不能のルートとして扱われてしまうので注意が必要です。
再配送の設定
再配送の設定は、癖があります。指定できるオプションもいろいろあります。ルータの種類、IOSの種類で多少異なる動きをする場合もあります。
ここでは、デフォルトのシードメトリック値ではなく、管理者が、シードメトリック値を指定する方法を紹介します。
再配送元のプロセスごとにシードメトリックを指定する場合
配送元のルーティングプロセスが複数ある場合、各プロセスごとにシードメトリックを指定したい場合は、以下のように設定します。
Router(config)#router {protocol1}
Router(config-router)#redistribute {protocol2} metric {metric-value}
共通のシードメトリックを設定する場合
配送元のルーティングプロセスで共通のシードメトリックを設定する場合は、以下のように設定します。
Router(config)#router {protocol1}
Router(config-router)#redistribute {protocol2}
Router(config-router)#default-metric {metric-value}
protocol1 : 再配送先(再配送に使うプロトコル)
protocol2 : 再配送元
再配送元のプロセスが、「static」、「connected」の場合のシードメトリックは、「1」です。この場合、設定を省略することもできますが、再配送の設定は、癖が強く、設定ミスを防ぐという意味合いでも、シードメトリックの設定は、明示的に行った方が良いと感じます。
ルート再配送のデメリット
ルート再配送が必要になるようなネットワーク構成は、なるべく避けるべきです。
ルート再配送は、次のようなデメリットがあります。
- ルーティングループが発生してしまう恐れがある。
- メトリックを調整することになるので、最適なルートとならない可能性がある。
- ネットワークが複雑になってしまう。
複数のルータで再配布の設定を双方向で行うとルーティングループが発生してしまう可能性でてきます。ルーティングループを防ぐには、シードメトリックやアドミニストレーティブディスタンスの値の調整が必要です。
場合によっては、ルートフィルタリングの設定も必要になるため、ネットワークの設定が複雑になってしまいます。
シードメトリックの指定の仕方が分かったところで、「ルート再配送(再配送の設定)」の設定に、シードメトリックの指定を加えてみましょう。
次の「ルート再配送(RIPとOSPF)」で再配布の設定を完成させます。
