ネットワーク型IDS

ネットワーク型IDS

 ネットワーク型IDS(Intrusion Detection System)は、ネットワーク上で発生する不正アクセスや攻撃などのセキュリティイベントを検知するためのシステムです。ネットワークトラフィックを監視し、不審な通信やパケットを検知して、管理者にアラートを送信します。以下にネットワーク型IDSの仕組みや種類について説明します。

【仕組み】

 ネットワーク型IDSは、ネットワーク上を流れるトラフィックを受信し、事前に定義されたルールに基づいて、不正アクセスや攻撃の特徴を検知します。具体的には、パケットのヘッダーやペイロード、TCPやUDPなどのプロトコルの振る舞いを監視し、異常な挙動を検知します。また、ホワイトリストやブラックリストを使用して、特定のIPアドレスやポートに対するアクセス制御も行うことができます。

【種類】

ネットワーク型IDSには、以下のような種類があります。

  1. Signature-Based IDS
     あらかじめ定義された攻撃シグネチャ(攻撃の特徴)を使用して、攻撃を検知する方式です。既知の攻撃に対して高い検知率を持ちますが、新しい攻撃には対応できません。
  2. Anomaly-Based IDS
     通常のトラフィックと比較して異常なトラフィックを検知する方式です。攻撃シグネチャを使用しないため、新しい攻撃にも対応できます。ただし、偽陽性や偽陰性が発生しやすいという課題があります。
  3. Hybrid IDS
     Signature-Based IDSとAnomaly-Based IDSを組み合わせた方式です。両方の利点を活かしながら、検知精度を向上させることができます。

 ネットワーク型IDSは、ネットワーク上でのセキュリティイベントの検知に役立ちますが、単体では攻撃を防止することはできません。セキュリティポリシーの策定や脆弱性対策、アクセス制御などの対策と併用することで、セキュリティ対策を強化することが必要です。

また、ネットワーク型IDSは、以下のような機能も備えています。

  1. ログ記録機能
    検知された攻撃やイベントのログを記録することで、トラブルシューティングやアクセスログの解析に役立ちます。
  2. パフォーマンス監視機能
    ネットワークの負荷やボトルネックなどの問題を監視し、最適化のための情報を提供することができます。
  3. セキュリティポリシーの適用
    企業内のセキュリティポリシーに基づいて、アクセス制御や暗号化などの対策を適用することができます。

 ネットワーク型IDSは、大規模なネットワーク環境や、ウェブサーバーやデータベースサーバーなどのサーバー群のセキュリティ管理に利用されます。また、最近ではクラウド環境におけるセキュリティ対策としても注目されており、クラウド型IDSとして提供されるサービスもあります。