パケットフィルタリング

パケットフィルタリング

 パケットフィルタリングは、ネットワークの通信制御のために用いられるセキュリティ技術の一つで、ネットワーク上を流れるパケットの内容に基づいて通信の許可・禁止を判断する技術です。通常、ファイアウォールによって実現されます。

 パケットフィルタリングは、IPアドレス、ポート番号、プロトコルなどの情報をもとに、通信の許可・禁止を判断します。たとえば、Webサーバーへの通信を制限するために、80番ポートへのアクセスを禁止するといった具合です。

パケットフィルタリングの仕組みは、通常、次のような手順で行われます。

  1. パケットの解析
     ファイアウォールは、パケットのヘッダー情報を解析して、送信元・宛先のIPアドレス、ポート番号、プロトコルなどの情報を抽出します。
  2. ルールの適用
     ファイアウォールは、設定されたルールに基づいて、パケットの許可・禁止を判断します。ルールは、許可するIPアドレス、ポート番号、プロトコルなどを指定することで設定されます。
  3. パケットの処理
     ファイアウォールは、ルールに従ってパケットを許可するか禁止するかを判断し、必要に応じてパケットを処理します。許可されたパケットは通常通りネットワークを流れ、禁止されたパケットは破棄されます。

 パケットフィルタリングは、単純で効率的なセキュリティ技術として広く採用されています。ただし、パケットフィルタリングは、データの中身にまでアクセスできないため、一部の攻撃手法に対しては有効ではありません。また、IPスプーフィングやフラグメント攻撃といった攻撃に対する対策が必要です。

 最近では、より高度なセキュリティ技術である次世代ファイアウォールやUTM(Unified Threat Management)が登場しており、パケットフィルタリングと組み合わせることで、より高度なセキュリティを実現することが可能になっています。


 次世代ファイアウォールは、パケットフィルタリングに加えて、アプリケーションレベルの制御や脅威検知・対策など、高度なセキュリティ機能を備えたファイアウォールです。通常、Deep Packet Inspection(DPI)と呼ばれる技術を用いて、パケットの中身まで解析することができます。

 UTMは、ファイアウォール、VPN、脅威検知・対策、Webフィルタリング、メールセキュリティなど、さまざまなセキュリティ機能を一つの装置に統合したものです。複数のセキュリティ製品を導入する場合に比べて、コストや管理の負担が低減されるため、中小企業などでの導入が増えています。

 パケットフィルタリングは、ネットワークの通信制御において重要な役割を果たす技術であり、企業や組織などで広く採用されています。ただし、単独で使用する場合には、セキュリティリスクがあるため、次世代ファイアウォールやUTMなどの高度なセキュリティ機能と組み合わせることが望ましいとされています。