目標復旧時点

目標復旧時点

 目標復旧時点 (RPO: Recovery Point Objective) とは、災害発生時に最新のデータがどこまで復旧できるかを定めた指標です。つまり、災害が発生した時点からどれだけの時間差でデータを復旧することができるかを示します。

 例えば、ある企業の RPO が 1 時間と設定されている場合、災害が発生した時点から 1 時間以内の状態までのデータを復旧できる必要があります。この場合、災害発生前の状態までのデータを全て復旧する必要はなく、RPO で定められた時間以内のデータを復旧することが目的となります。

 RPO の設定は、ビジネスにとって許容できるデータ損失の範囲に応じて決定されます。例えば、金融機関や医療機関など、データの正確性や完全性が極めて重要な場合は、RPO をより短い時間に設定することが多いです。一方で、ビジネスによっては、ある程度のデータ損失を許容できる場合もあり、その場合は RPO を長めに設定することができます。

 また、RPO は復旧方法によっても異なります。例えば、データバックアップやレプリケーションによる復旧では、RPO を数分や数時間に設定することができますが、テープバックアップなどの復旧方法では、RPO を数日に設定することが必要になる場合もあります。

 RPO の設定は、災害復旧計画の中で重要な要素の一つです。適切な RPO の設定と、それを実現するための対策の実施によって、データ損失を最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保することができます。

RPO の設定には、以下のような要素が考慮されます。

  1. データの重要度
    ビジネスにとって重要なデータほど、RPO を短く設定する必要があります。
  2. データの更新頻度
     データの更新頻度が高い場合は、RPO を短く設定する必要があります。逆に、更新頻度が低い場合は、RPO を長く設定することができます。
  3. 復旧方法
     復旧方法によって、実現可能な RPO は異なります。例えば、データバックアップによる復旧は、比較的短い RPO を設定することができますが、テープバックアップによる復旧は、RPO を長めに設定する必要があります。
  4. 費用と効果のバランス
     RPO を短く設定する場合は、その分コストがかかることがあります。復旧にかかるコストと、ビジネスにとって許容できるデータ損失の範囲をバランスさせる必要があります。
  5. 法的要件や規制に基づく要件
     特定の業界や国には、法的要件や規制によって、RPO の最低値が定められている場合があります。これらの要件に従う必要があります。

 RPO は、災害復旧計画の中で重要な要素の一つであると同時に、実現可能な RPO を設定することができるため、事前の計画と適切な対策の実施が重要です。ビジネスの継続性を確保するためには、適切な RPO の設定と、その実現に向けた対策の実施が必要です。