メトリック

メトリック

 ルーティングプロトコルにおいて、メトリックとはネットワーク経路の優先度を示す数値のことを指します。ルーティングテーブルに登録された経路に対して、メトリックを割り当てることによって、どの経路が優先されるかを決定します。

 メトリックは、通常、経路のコストを表す数値で表されます。コストは、データを転送するために必要な時間、回線の帯域幅、ネットワークの混雑度などによって決定されます。一般的に、より低いコストを持つ経路が優先されます。

 ルーティングプロトコルには、静的ルーティングと動的ルーティングの2つの種類があります。静的ルーティングは手動で設定されたルーティングテーブルを使用し、動的ルーティングはネットワーク上の他のルーターと通信して、自動的に最適な経路を計算します。

 一般的に、動的ルーティングプロトコルでは、各ルーターが他のルーターから学習した経路情報をもとに、最適な経路を計算します。これによって、ネットワークに障害が発生した場合でも、自動的に最適な経路を探し出すことができます。ただし、動的ルーティングプロトコルは、ネットワークのトラフィックが増大するにつれて処理負荷が増加するため、大規模なネットワークでは静的ルーティングを使用することもあります。

 ルーティングプロトコルにおけるメトリックは、経路選択において用いられる指標のことです。経路選択とは、ネットワーク上をデータが通過する際、どのような経路を通すかを決めることを言います。

 一般的に、メトリックは経路のコストや品質を表します。ルーティングプロトコルがパケットを転送するために使用する経路は、メトリックが最も低い経路となります。具体的には、以下のようなメトリックがあります。

  1. ホップ数
     パケットが経由するルーターの数を表します。ルーティングプロトコルによっては、ホップ数をメトリックとして使用することがあります。
  2. 帯域幅
    ネットワークリンクの帯域幅を表します。帯域幅が大きいほど、データを高速に転送できるため、メトリックが低くなります。
  3. ディレイ
    パケットが送信元から宛先に到達するまでにかかる時間を表します。ディレイが小さいほど、メトリックが低くなります。
  4. パケットロス率
    パケットの転送中に失われるパケットの割合を表します。パケットロス率が小さいほど、メトリックが低くなります。
  5. 可用性
    ネットワークリンクが利用可能な時間の割合を表します。可用性が高いほど、メトリックが低くなります。

 なお、異なるルーティングプロトコルでは、メトリックの算出方法が異なります。また、同じルーティングプロトコルでも、設定値によってメトリックの算出方法が変わる場合があります。