フラグメント

フラグメント

 ネットワーク通信において、IPパケットが転送経路上のネットワーク機器によってMTU(最大転送単位)を超える場合、パケットはフラグメント化されます。つまり、1つのパケットが複数の小さなパケットに分割され、それらは個別に転送されます。

 フラグメントは、パケットを分割するために使用される技術であり、ネットワーク上の通信を効率的に行うために重要な役割を果たしています。フラグメントは、元のパケットから切り出された個々の小さなパケットであり、それぞれが元のパケットの一部を含んでいます。フラグメントを正しく再構築することにより、元のパケットを再度作成することができます。

フラグメントは、IPヘッダに含まれるフラグによって制御されます。フラグには、次の3つがあります。

  1. DF(Don’t Fragment)フラグ
     このフラグが設定されている場合、パケットはフラグメント化されず、転送不能となるため、転送経路上のネットワーク機器がパケットを破棄します。
  2. MF(More Fragments)フラグ
    このフラグが設定されている場合、パケットはフラグメント化され、更にフラグメントがあることを示します。
  3. FO(Fragment Offset)フラグ
    このフラグは、フラグメントが元のパケットのどの部分であるかを示します。

 フラグメント化は、通信の信頼性を高め、データの欠落や破損を防ぐために重要です。しかし、フラグメントが多すぎる場合、ネットワーク上の帯域幅を消費し、通信速度を低下させることがあります。そのため、ネットワークの最適化には、フラグメント化を最小限に抑えることが求められます。

 フラグメント化は、特に低速な回線や高負荷のネットワークでは、通信の遅延やパフォーマンスの低下を引き起こすことがあります。そのため、フラグメント化を最小限に抑えるために、パケットのMTUを超えないようにすることが望ましいです。MTUは、通信回線の最大パケットサイズを示すパラメータであり、各通信回線によって異なります。

 また、ネットワーク機器によっては、フラグメントを再構築できない場合があります。これは、フラグメントを適切に再構築するためには、パケットが正しい順序で到着する必要があるためです。そのため、フラグメント化が避けられない場合でも、可能な限りフラグメントを最小限に抑えることが望まれます。

 IPパケットのフラグメント化には、通信の信頼性やパフォーマンスの向上に役立つ一方、ネットワーク上の帯域幅を消費する可能性があるため、最適な設定が求められます。ネットワーク管理者は、ネットワークの状況に合わせてフラグメント化の設定を適切に調整する必要があります。