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HSRP(二重化 Activeルータの選出 その7)

 ここでは、「HSRP(二重化 その3)」で構築したネットワークを使用して、HSRPにおけるActiveルータの選出について検証していきます。

 まずは、すべての機器を再起動させます。下図の「Power Cycle Devices」ボタンをクリックします。これは、ルータへのHSRPの設定が完了した順が、Activeルータの選出に影響しているからです。

Activeルータは以下のように選出されます。

  1. プライオリティ値の高い方がActiveルータに選出される。
  2. プライオリティ値が同じ場合、大きいIPアドレスを持つルータがActiveルータに選出される。

 プライオリティ値のデフォルトは、「100」です。つまり、プライオリティ値を設定しない場合は、大きいIPアドレスを持つルータがActiveルータに選出されます。

 現在の設定では、R3ルータのプライオリティを「255」に設定していますので、R3ルータがActiveルータに選出されているはずです。

今度は、R3ルータで「show standby」コマンドを実行します。

●R3の「show standby」コマンドの出力結果

R3#show stand
R3#show standby 
GigabitEthernet0/0 - Group 1
  State is Active
    5 state changes, last state change 00:00:17
  Virtual IP address is 192.168.1.254
  Active virtual MAC address is 0000.0C07.AC01
    Local virtual MAC address is 0000.0C07.AC01 (v1 default)
  Hello time 3 sec, hold time 10 sec
    Next hello sent in 1.197 secs
  Preemption disabled
  Active router is local
  Standby router is 192.168.1.1
  Priority 255 (configured 255)
  Group name is hsrp-Gig0/0-1 (default)

R3ルータが、Activeルータに選出されていることが確認できます。

それでは、R3ルータに設定したプライオリティを削除します。

R3(config)#int g0/0
R3(config-if)#no standby 1 priority 255
R3(config-if)#end
R3#copy run start

 すべての機器を再起動させます。下図の「Power Cycle Devices」ボタンをクリックします。Activeルータを再選出させます。

R3ルータで「show standby」コマンドを実行します。

●R3の「show standby」コマンドの出力結果

R3#show standby 
GigabitEthernet0/0 - Group 1
  State is Active
    4 state changes, last state change 00:00:28
  Virtual IP address is 192.168.1.254
  Active virtual MAC address is 0000.0C07.AC01
    Local virtual MAC address is 0000.0C07.AC01 (v1 default)
  Hello time 3 sec, hold time 10 sec
    Next hello sent in 0.727 secs
  Preemption disabled
  Active router is local
  Standby router is 192.168.1.1
  Priority 100 (default 100)
  Group name is hsrp-Gig0/0-1 (default)

 R3ルータのプライオリティは、デフォルトの「100」になりましたが、再び、R3ルータがActiveルータに選出されていることが確認できます。

これは、プライオリティ値が同じ場合、大きいIPアドレスを持つルータが Activeルータに選出されるからです。

R2ルータの G0/0のIPアドレスを「192.168.1.100」に変更します。

R2(config-if)#ip address 192.168.1.100 255.255.255.0

 すべての機器を再起動させます。下図の「Power Cycle Devices」ボタンをクリックします。Activeルータを再選出させます。

R3ルータで、「show standby」コマンドを実行します。

●R3の「show standby」コマンドの出力結果

R3#show standby 
GigabitEthernet0/0 - Group 1
  State is Standby
    7 state changes, last state change 00:00:52
  Virtual IP address is 192.168.1.254
  Active virtual MAC address is 0000.0C07.AC01
    Local virtual MAC address is 0000.0C07.AC01 (v1 default)
  Hello time 3 sec, hold time 10 sec
    Next hello sent in 2.01 secs
  Preemption disabled
  Active router is 192.168.1.100
  Standby router is local
  Priority 100 (default 100)
  Group name is hsrp-Gig0/0-1 (default)

R3ルータが、Standbyルータになりました。

 R2ルータのIPアドレスを「192.168.1.100」に変更したことで、HSRPグループ1内で、R2ルータが最も大きなIPアドレスを持つことになり、R2ルータがActiveルータに選出されたからです。

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