マルチエリアOSPF(ABR・ASBRの設定)

 OSPFは、リンクのコストでルートを判断しますので、インターフェイスに適切な帯域幅を設定する必要があります。「bandwidth」コマンドの設定を忘れてもデフォルトの帯域幅が使われますが、OSPFを正しく動作させるには、正しい帯域幅の設定が不可欠です。

Router(config)#interface serial 0
Router(config-if)#bandwidth [帯域幅]

帯域幅:kbpsで指定します。

ABR(Area Border Router):エリア境界ルータ

 複数のエリアを接続するルータがABRです。ABRは、エリア0と他のエリアへ接続するインターフェイスを持ちます。ABRは、所属するエリアごとにトポロジデータベースを持つことになり、その結果、負荷のかかることになります。

 また、各エリアは、ABRを経由してパケットをやり取りすることになります。ABRに使用するルータは、十分なCPU能力、メモリ容量を備えていなければ、なりません。

 マルチエリアの設定は、一見、難しそうに思えますが、設定方法は、いたってシンプルです。

ABRルータの設定

OSPFを起動させるには、グローバル設定モードで「router ospf」コマンドを入力します。

Router(config)#router ospf {プロセス番号}
Router(config-router)#network {network} {wildcard} area 0
Router(config-router)#network {network} {wildcard} area {area-id}

プロセス番号: 1~65535

 ABRは、バックボーンエリアと接続するわけですから、networkコマンドで、「area 0」を、もちろん指定します。後は、接続するエリアを追加していくだけです。

 プロセス番号は、OSPFプロセスを管理する番号で、各ルータで合わせておく必要はありません。プロセス番号は、OSPFプロセスを管理するためのものです。IGRP や EIGRP の AS番号とは違います。また、エリア番号と合わせる要もありません。

ASBR(AS Boundary Router):AS境界ルータ

 ASBRは、他のASや、OSPF以外のルーティングプロトコルを使用している非OSPFネットワークへ接続しているインターフェイスを持つルータのことです。ASBRでは、再配送の設定を行い、OSPFのルートを非OSPFネットワークへ再配送したり、その逆の処理を行います。

 ASBRは、マルチエリア構成時に非OSPFネットワークへ接続するためルータであるとは限りません。シングルエリアOSPFと非OSPFネットワークを接続する際のルータもASBRと言います。

 ルートの再配送に関しては、「ルート再配送(再配送の設定)」「ルート再配送(RIPとOSPF)」を参考にしてみて下さい。

 非OSPFネットワークがどのルーティングプロトコルを使用するかによって、再配送の設定で、オプションの指定の仕方が変わってきます。

再配送は、以下のようにOSPFネットワーク、非OSPFネットワークの双方で必要になります。

  • OSPFネットワークのルート → 非OSPFネットワークへ
  • 非OSPFネットワークのルート → OSPFネットワーク
再配送の設定

Router(config)#router {protocol1}
Router(config-router)#redistribute {protocol2}

protocol1 : 再配送先(再配送に使うプロトコル)
protocol2 : 再配送元

「protocol2」で取得したルートを「protocol1」で再配送する。

※ルーティングプロトコルによって「protocol1」「protocol2」の後の指定の仕方が変わってきます。

 次の「マルチエリアOSPF(ASBRの設定例)」では、OSPFネットワークとRIPネットワークの接続を例に、ASBRの設定例について解説します。