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演習ファイルのダウンロード

 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。

IPv6 RIP その1

ここでは、下図のネットワークを IPv6 RIPで構築していきます。

 R1ルータ、R2ルータの G0/0、G0/1 インターフェイスには、手動でリンクローカルアドレス(LLA)を設定します。各PCのLLAは、自動生成されるLLAを使用します。また、各PCのデフォルトゲートウェイには、ルータのグローバルユニキャストアドレス(GUA)を指定することも、LLAを指定することもできますが、一般的にはLLAを指定するため、以下のように指定します。

PC1のデフォルトゲートウェイ ・・・ FE80::1
PC2のデフォルトゲートウェイ ・・・ FE80::2

 ネクストホップアドレスは、同じリンク上のルータのインターフェイスになるため、IPv6 RIP や OSPFv3 などのダイナミックルーティングプロトコルにおいて、学習するネクストホップアドレスは、リンクローカルアドレスになっています。

IPv6ダイナミックルーティング

 IPv6のダイナミックルーティングにIPv4のルーティングプロトコルを使用することはできません。IPv6用のルーティングプロトコルを使用する必要があります。

代表的なものに次のプロトコルがあります。

  • IPv6 RIP(RIP for IPv6)
  • OSPFv3
  • Integrated IS-IS
  • EIGRP for IPv6
  • MP-BGP

 使用しているルータがどのIPv6ダイナミックルーティングプロトコルに対応しているかは、「ipv6 router ?」コマンドで確認することができます。

 Packet Tracer の場合では、「ipv6 router ?」の出力から、EIGRP for IPv6、OSPFv3、IPv6 RIP が使用できるようです。

Router(config)#ipv6 router ?
  eigrp  Enhanced Interior Gateway Routing Protocol (EIGRP)
  ospf   Open Shortest Path First (OSPF)
  rip    IPv6 Routing Information Protocol (RIPv6)

IPv6 RIP の特徴

 IPv6においてもRIPが使えます。IPv6用のRIPを IPv6 RIP、または RIP for IPv6、または RIPng(RIP next generation)と呼んでいます。基本的な仕組みは、IPv4のRIPv2と同じで特徴もよく似ています。

RIPngの特徴

  • ディスタンスベクター型のルーティングプロトコル
  • 最大ホップカウント数は15で、到達不能は16となる。
  • 定期的にルート情報をアドバタイズする。(マルチキャストアドレス FF02::9)
    ※RIPv2では、「224.0.0.9」
  • ルート集約が可能
  • UDPポート番号「521」を使う。
    ※RIPは、UDPポート番号「520」

IPv6 RIP の設定

 IPv6 RIPは、RIPv2と似ていますが、設定のアプローチの仕方が異なります。まとめると下の表のようになります。

IPv6 RIPRIPv2
ルーティングプロセスを有効にする(config)#ipv6 router rip <tag>(config)#router rip
(config)#verson 2
インターフェイスで有効にする(config-if)#ipv6 rip <tag> enable(config-router)#network <nertwork>
RIPngの設定

ルーティングプロセスを有効にする

 ルーティングプロセスを有効にするには、グローバルコンフィギュレーションモードで、「ipv6 router rip」コマンドを入力します。

Router(config)#ipv6 router rip <tag>

tag:ルーティングプロセスの識別子

 コマンドを入力すると、RIPv2では、プロンプトが「config-router」になりましたが、IPv6 RIP では、プロンプトが「config-rtr」に変わります。

Router(config-rtr)#

インターフェイスで有効にする

 RIPでは、ルーティング設定モードで「network」コマンドを使用することで、RIPを有効にするインターフェイスを指定していましたが、IPv6 RIP では、インターフェイスコンフィギュレーションモードで、有効にするようになっています。OSPFv3も同様です。

Router(config-if)#ipv6 rip <tag> enable

続きは、次の「IPv6 RIP その2」で、IPv6 RIP を設定していきます。

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