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演習ファイルのダウンロード

 ファイルは Packet tracer Version 8.2.0 で作成しています。古いバージョンの Packet Tracer では、ファイルを開くことができませんので、最新の Packet Tracer を準備してください。
 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。

OSPF(ループバックインターフェイスの活用)

 ある程度の大きさのネットワークを演習するとなると、必要なルータの数も増えてきますし、ルータにモジュールを追加して、インターフェイスを増さなければなりません。

 特にルーティングの演習では、ルート集約や、ルートの再配送などを行います。十分な数の経路がないと満足する演習が行えません。

そこで重宝するのが、ループバックインターフェイスです。

 ループバックインターフェイスは仮想的なインターフェイスで、ループバックインターフェイス宛に送信されたパケットは、ルータ内部で折り返すようになっています。

 このループバックインターフェイスにIPアドレスを割り振れば、ネットワークを増やすことができます。ループバックインターフェイスは、数の上限を気にすることなく作成することができます。

Router(config)#interface loopback ?
<0-2147483647> Loopback interface number

0~2,147,483,647まで設定できるみたいです。

それでは、下のネットワークをOSPFで構築していきます。

基本設定

R1ルータでループバックインターフェイスを作成し、以下のIPアドレスを割り当てます。

Loopback0:192.168.1.1/24
Loopback1:192.168.2.1/24
Loopback2:192.168.3.1/24
Loopback3:192.168.4.1/24

各ルータの設定は、以下のようになります。

●R1のコンフィグ

Router>enable
Router#conf t
Router(config)#hostname R1
R1(config)#int Lo0
R1(config-if)#ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
R1(config)#int Lo1
R1(config-if)#ip address 192.168.2.1 255.255.255.0
R1(config)#int Lo2
R1(config-if)#ip address 192.168.3.1 255.255.255.0
R1(config)#int Lo3
R1(config-if)#ip address 192.168.4.1 255.255.255.0
R1(config-if)#int g0/1
R1(config-if)#ip address 172.16.0.1 255.255.0.0
R1(config-if)#no shutdown
R1(config-if)#router ospf 1
R1(config-router)#network 172.16.0.0 0.0.255.255 area 0
R1(config-router)#network 192.168.1.0 0.0.0.255 area 0
R1(config-router)#network 192.168.2.0 0.0.0.255 area 0
R1(config-router)#network 192.168.3.0 0.0.0.255 area 0
R1(config-router)#network 192.168.4.0 0.0.0.255 area 0
R1(config-router)#end
R1#copy run start

●R2のコンフィグ

Router>enable
Router#conf t
Router(config)#hostname R2
R2(config-if)#int g0/0
R2(config-if)#ip address 172.16.0.2 255.255.0.0
R2(config-if)#no shutdown
R2(config-if)#no shutdown
R2(config-if)#router ospf 1
R2(config-router)#network 172.16.0.0 0.0.255.255 area 1
R2(config-router)#end
R2#copy run start

ルーティングテーブルの確認

それでは、ルーティングテーブルを確認してみます。

 Router_Bは、「192.168.1.0/24」「192.168.2.0/24」「192.168.3.0/24」「192.168.4.0/24」の経路をきちんと学習してくれると思いますよね!

ところが、

R2ルータのルーティングテーブルを確認します。

●R2ルータのルーティングテーブル

R2#show ip route
Codes: L - local, C - connected, S - static, R - RIP, M - mobile, B - BGP
       D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area
       N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2
       E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP
       i - IS-IS, L1 - IS-IS level-1, L2 - IS-IS level-2, ia - IS-IS inter area
       * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR
       P - periodic downloaded static route

Gateway of last resort is not set

     172.16.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks
C       172.16.0.0/16 is directly connected, GigabitEthernet0/0
L       172.16.0.2/32 is directly connected, GigabitEthernet0/0
     192.168.1.0/32 is subnetted, 1 subnets
O       192.168.1.1/32 [110/2] via 172.16.0.1, 00:01:27, GigabitEthernet0/0
     192.168.2.0/32 is subnetted, 1 subnets
O       192.168.2.1/32 [110/2] via 172.16.0.1, 00:01:27, GigabitEthernet0/0
     192.168.3.0/32 is subnetted, 1 subnets
O       192.168.3.1/32 [110/2] via 172.16.0.1, 00:01:27, GigabitEthernet0/0
     192.168.4.0/32 is subnetted, 1 subnets
O       192.168.4.1/32 [110/2] via 172.16.0.1, 00:01:27, GigabitEthernet0/0

 「192.168.1.1/32」「192.168.2.1/32」「192.168.3.1/32」「192.168.4.1/32」という経路情報になっています。

R1ルータで設定したループバックインターフェイスに設定されたサブネットマスクが反映されていません。

 OSPFでは、ループバックインターフェイスは、ホストルートと見なされて、「/32」としてアドバタイズされるからです。

これでは、十分な演習が行えません。ループバックインターフェイスの魅力が半減してしまいます。

そこで、ループバックインターフェイスに設定されたサブネットでアドバタイズさせるコマンドが用意されています。

続きは、「OSPF(ip ospf network point-to-point)」で設定していきます。

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