マルチエリアOSPF(エリアの概念)
マルチエリアの動作とルール
OSPFネットワークでは、複数のエリアをエリア0(バックボーン)に接続することで、ネットワークを階層構造に構築することができます。
下図のように、1つのネットワークを複数のエリアに分割し、各エリア内とエリア間のルーティングとに分けて、階層的にルーティングを行うことができます。

各エリアは、必ずエリア0(バックボーンエリア)に接続しなければならないというルールがあります。
バーチャルリンク(Virtual link)という仮想のリンクを介してバックボーンエリアに接続させることもできますが、基本的にバックボーンエリアに接続させることになっています。
特定のLSAタイプを除き、基本的にLSAは、エリア内のルータ同士で交換します。そして、同じトポロジデータベースを持つことになります。
このエリアを定義する設計アプローチによって、LSAが届く範囲を分割することができ、ネットワークの変化をエリア内に留め、パフォーマンスを向上させています。
マルチエリアの接続
OSPFの各エリアは、ABR(Area Border Router)で接続され、非OSPFネットワークへは、ASBR(AS Boundary Router)で接続されます。各エリアは、バックボーンエリアを介して通信を行います。
●OSPFエリアの接続と非OSPFネットワークとの接続図

各エリアのルータは、所属するエリアごとのトポロジデータベースを持っています。他のエリアにあるネットワーク情報は、ABRからのアドバタイズで学習します。
ABRでは、ネットワークの詳細情報ではなく、集約ルートやデフォルトルートでアドバタイズします。その結果、エリア内のルータは、ルーティングテーブルを小さくでき、ルーティングの負荷が軽減されます。
各エリアのルートの詳細情報が流れないことにより、OSPFの問題点である負荷がかかるルートの再計算を行う可能性が低くなります。
上図を見て分かるように、OSPFネットワークは、バックボーンエリアを中心に階層的に構築され、各エリアは、ABRで接続されます。ABRでは、集約ルートをアドバタイズします。
と言うことは
OSPFでは、各エリアのIPアドレッシング計画が重要になってきます。
ABRで、ルートを集約してアドバタイズできるのにIPアドレスを集約することができないのであれば、エリアに分けるメリットが半減しますよね!
OSPFでは、各エリアの番号を数字で示すこともできますが、IPアドレスのような4オクテットの表記(x.x.x.x)で表現することもできます。
Ciscoでは、OSPFのエリアは、単純にエリア番号として、「0」とか「1」で表記しますが、他のベンダーの実装では、「0.0.0.0」とか「0.0.0.1」で表記します。
例えば、アライドテレシスのレイヤ3スイッチでは、Ciscoのエリア0は、「0.0.0.0」に該当します。アライドテレシスでのOSPFのエリアの設定は、「OSPF(マルチエリアOSPF設定_その7)」を参考にしてみて下さい。
マルチエリアにおけるOSPFルータの種類と役割については、次の「マルチエリアOSPF(OSPFルータの種類)」で解説します。
