DHCPリレーの設定(その1)

ここでは、DHCPリレーエージェント機能を設定していきます。

 「DHCPの設定(その1)」~「DHCPの設定(その2)」で構築したネットワーク構成を拡張して、下図のネットワーク構成で設定と検証を行っていきます。

RAルータの設定

まず、RAルータから設定していきます。

RAルータには、DHCPサーバ機能を設定します。

基本設定

コンソールプロンプトとLAN1にIPアドレスを割り当てます。

# console prompt RA
RA# ip lan1 address 192.168.1.1/24
RA# ip lan2 address 192.168.2.1/24
RA# ip route 192.168.3.0/24 gateway 192.168.2.2

DHCPスコープを設定する

「dhcp scope」コマンドを使用して、DHCPスコープを設定します。

  • サーバSV1には、固定IPアドレス「192.168.1.2/24」を割り当てるため、DHCPスコープから除外します。
  • サーバSV2には、固定IPアドレス「192.168.3.2/24」を割り当てるため、DHCPスコープから除外します。

RA# dhcp scope 1 192.168.1.2-192.168.1.254/24 except 192.168.1.2
RA# dhcp scope 2 192.168.3.2-192.168.3.254/24 except 192.168.3.2 gateway 192.168.3.1

※スコープの範囲を「192.168.1.3-192.168.1.254/24」にすれば、exceptで除外する必要がありません。
※スコープの範囲を「192.168.3.3-192.168.3.254/24」にすれば、exceptで除外する必要がありません。

RA# dns server 192.168.1.254

 DHCPリレーエージェントを経由しないDHCP クライアントに対して「gateway」キーワードによるパラメータを省略した場合には、ルータ自身の IP アドレスが通知されます。この場合、「192.168.1.1/24」が通知されます

 「dns server」コマンドは、DNSサーバのIPアドレスを指定するコマンドですが、このコマンドで指定するIPアドレスは、ルータがDHCPサーバとして機能する場合に、DHCPクライアントに通知されます。

DHCP予約アドレスの設定

  • MACアドレスが、「00:1E:8C:C8:02:40」のDHCPクライアントには、「192.168.1.3/24」を予約します。
  • MACアドレスが、「00:1E:8C:C8:02:35」のDHCPクライアントには、「192.168.3.3/24」を予約します。

RA# dhcp scope bind 1 192.168.1.3 ethernet 00:1e:8c:c8:02:40
RA# dhcp scope bind 2 192.168.3.3 ethernet 00:1e:8c:c8:02:35

DHCPの動作の設定

ルータがDHCPサーバとして機能するように設定します。

RA# dhcp service server

●RAルータのコンフィグ

console prompt RA
ip route 192.168.3.0/24 gateway 192.168.2.2
ip lan1 address 192.168.1.1/24
ip lan2 address 192.168.2.1/24
dhcp service server
dhcp scope 1 192.168.1.2-192.168.1.254/24 except 192.168.1.2
dhcp scope bind 1 192.168.1.3 ethernet 00:1e:8c:c8:02:40
dhcp scope 2 192.168.3.2-192.168.3.254/24 except 192.168.3.2 gateway 192.168.3.1
dhcp scope bind 2 192.168.3.3 ethernet 00:1e:8c:c8:02:35
dns server 192.168.1.254

DHCPリレーエージェントの設定

ここからは、RBルータに、DHCP リレーエージェント機能を設定していきます。

 DHCPリレーエージェント機能は、ローカルセグメントのDHCPクライアントからの要求を、予め設定しておいたリモートのネットワークセグメントにあるDHCPサーバへ転送する機能のことです。

 上の構成図では、「192.168.3.0/24」ネットワークセグメント上のDHCPクライアントからの要求をRBルータが受け取って、リモートのネットワークセグメントにあるDHCPサーバであるRAルータに転送します。

RBルータの設定

RBルータの設定を行っていきます。

RBルータには、DHCPリレーエージェント機能を設定します。

基本設定

コンソールプロンプトとLAN1にIPアドレスを割り当てます。

# console prompt RB
RB# ip lan1 address 192.168.3.1/24
RB# ip lan2 address 192.168.2.2/24
RB# ip route 192.168.1.0/24 gateway 192.168.2.1

DHCPの動作の設定

DHCPサーバのIPアドレスを指定します。

RB# dhcp relay server 192.168.2.1

ルータがDHCPサーバとして機能するように設定します。

RB# dhcp service server

●RBルータのコンフィグ

console prompt RB
ip route 192.168.1.0/24 gateway 192.168.2.1
ip lan1 address 192.168.3.1/24
ip lan2 address 192.168.2.2/24
dhcp service relay
dhcp relay server 192.168.2.1

次の「DHCPリレーの設定(その2)」では、設定したDHCPリレーエージェント機能を検証していきます。