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演習ファイルのダウンロード

 ファイルは Packet tracer Version 8.2.1 で作成しています。古いバージョンの Packet Tracer では、ファイルを開くことができませんので、最新の Packet Tracer を準備してください。Tracer を準備してください。
 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、ウイルスバスターでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。

【L3SW】OSPFv2の設定①

ここでは、L3スイッチで構成されるネットワークにOSPFv2を設定していきます。

ネットワークの構成は下図のとおりです。


基本設定

ホスト名と各インターフェイスにIPアドレスを設定します。

●L3SW1

Switch>enable
Switch#conf t
Switch(config)#hostname L3SW1
Switch(config)#ip routing
L3SW1(config)#int g1/0/1
L3SW1(config-if)#no switchport
L3SW1(config-if)#ip address 172.16.0.1 255.255.0.0
L3SW1(config-if)#no shutdown
L3SW1(config-if)#int g1/0/2
L3SW1(config-if)#no switchport
L3SW1(config-if)#ip address 172.17.0.2 255.255.0.0
L3SW1(config-if)#no shutdown
L3SW1(config-if)#end
L3SW1#copy run start

●L3SW2

Switch>enable
Switch#conf t
Switch(config)#hostname L3SW2
Switch(config)#ip routing
L3SW2(config)#int g1/0/1
L3SW2(config-if)#no switchport
L3SW2(config-if)#ip address 172.17.0.1 255.255.0.0
L3SW2(config-if)#no shutdown
L3SW2(config-if)#int g1/0/2
L3SW2(config-if)#no switchport
L3SW2(config-if)#ip address 172.18.0.2 255.255.0.0
L3SW2(config-if)#no shutdown
L3SW2(config-if)#end
L3SW2#copy run start

●L3SW3

Switch>enable
Switch#conf t
Switch(config)#hostname L3SW3
Switch(config)#ip routing
L3SW3(config)#int g1/0/1
L3SW3(config-if)#no switchport
L3SW3(config-if)#ip address 172.18.0.1 255.255.0.0
L3SW3(config-if)#no shutdown
L3SW3(config-if)#int g1/0/2
L3SW3(config-if)#no switchport
L3SW3(config-if)#ip address 172.19.0.1 255.255.0.0
L3SW3(config-if)#no shutdown
L3SW3(config-if)#end
L3SW3#copy run start

コピー&ペースト用コンフィグ

●L3SW1

enable
conf t
hostname L3SW1
ip routing
int g1/0/1
no switchport
ip address 172.16.0.1 255.255.0.0
no shutdown
int g1/0/2
no switchport
ip address 172.17.0.2 255.255.0.0
no shutdown
end
copy run start

●L3SW2

enable
conf t
hostname L3SW2
ip routing
int g1/0/1
no switchport
ip address 172.17.0.1 255.255.0.0
no shutdown
int g1/0/2
no switchport
ip address 172.18.0.2 255.255.0.0
no shutdown
end
copy run start

●L3SW3

enable
conf t
hostname L3SW3
ip routing
int g1/0/1
no switchport
ip address 172.18.0.1 255.255.0.0
no shutdown
int g1/0/2
no switchport
ip address 172.19.0.1 255.255.0.0
no shutdown
end
copy run start

OSPFv2の設定

OSPFv2を設定するコマンド

 OSPFv2を起動させるには、グローバルコンフィグレーションモードで「router ospf」コマンドを入力します。

Router(config)#router ospf {プロセス番号}

プロセス番号: 1~65535

 プロセス番号は、OSPF プロセスを管理する番号で、R1ルータ、R2ルータとで合わせておく必要はありません。プロセス番号は、OSPF プロセスを管理するためのものです。IGRP や EIGRP の AS 番号とは異なります。また、エリア番号とプロセス番号とを合わせる必要もありません。

OSPFのプロセスを指定したら、次にネットワークとエリアの設定を行います。

 シングルエリアOSPFでは、すべてバックボーンエリアに所属することになるので、「area 0」を指定します。RIP、IGRPと異なり、ネットワークを指定するためにワイルドカードマスクで、ネットワークを指定します。

Router(config-router)#network {ネットワーク} {ワイルドカードマスク} area 0

ワイルドカードマスクの求め方
・方法1

ワイルドカードマスクでは、

 0 ・・・ 一致する
 1 ・・・ 無視する

で評価します。

例えば、「192.168.1.0/24」を指定する場合を考えてみます。

 第1オクテット~第3オクテットの「192.168.1」まで一致して、残りの第4オクテット目のホスト部分を無視すれば、よいので、ワイルドカードマスクの指定は、下のようになります。

10進数表記19216810
IPアドレス11000000101010000000000100000000
ワイルドカードマスク  00000000000000000000000011111111
ワイルドカードマスクの求め方 方法1

ワイルドカードマスクは、「0.0.0.255」となります。

・方法2

 ネットワークアドレスが「192.168.1.0/24」であることから、サブネットマスクは「255.255.255.0」です。このサブネットマスクを「255.255.255.255」から引き算することでも、ワイルドカードマスクを求めることができます。こちらの方法でもワイルドカードマスク「0.0.0.255」を求めることができます。 

リミテッドブロードキャスト255255255255
サブネットマスク255255255 0
ワイルドカードマスク   0  0 0255
ワイルドカードマスクの求め方 方法2

 一見、ワイルドカードマスクは、サブネットマスクを逆(ビット反転したもの)にしたような印象を受けてしまいますが、サブネットマスクの逆ではありません。ワイルドカードマスクとサブネットマスクは別物です

コスト値の手動設定

 リンクコストは、インターフェイスコンフィグレーションモードで次のコマンドを指定することでカスタマイズすることができます。

Router(config-if)#ip ospf cost {コスト値}
※コスト値: 1~65,535の範囲で指定します。

 OSPF のリンクのコストは、「108/帯域幅」で求められる値が使われます。つまり、100Mbpsのリンクの場合、コストは1になります。100Mbpsイーサネットと、ギガイーサーネットが混在する環境では、リンクのコストをカスタマイズしなければ、うまく機能しなくなります。

※コストを変更する場合は、他ルータとの整合性を取るため、すべてのOSPFルータで設定変更しておく必要があります。

基準帯域幅の変更

 デフォルトの基準帯域幅は、108(100M)bps です。この基準帯域幅を用いると、100Mbpsのリンクと1Gbpsのリンクのコストが同じ値となってしまいます。

 100Mbps 以上の高速リンクが、すべて1になってしまうため、基準帯域幅を変更することができます。

Router(config-router)#auto-cost reference-bandwidth {ref-bw}
※ref-bw: 1~4,294,969(単位:Mbps)の範囲で指定します。デフォルトは、100となっています。

基準帯域幅を1,000Mbpsに変更した場合のコスト値

コスト = 108 ÷ 帯域幅(bps)

  • 10Mbps   → 100
  • 100Mbps  → 10
  • 1,000Mbps → 1

※基準帯域幅を変更する場合は、他ルータとの整合性を取るため、すべてのOSPFルータで設定変更しておく必要があります。

L3スイッチの設定

●L3SW1

L3SW1(config)#router ospf 1
L3SW1(config-router)#auto-cost reference-bandwidth 1000
L3SW1(config-router)#network 172.16.0.0 0.0.255.255 area 0
L3SW1(config-router)#network 172.17.0.0 0.0.255.255 area 0

●L3SW2

L3SW2(config)#router ospf 1
L3SW2(config-router)#auto-cost reference-bandwidth 1000
L3SW2(config-router)#network 172.17.0.0 0.0.255.255 area 0
L3SW2(config-router)#network 172.18.0.0 0.0.255.255 area 0

●L3SW3

L3SW3(config)#router ospf 1
L3SW3(config-router)#auto-cost reference-bandwidth 1000
L3SW3(config-router)#network 172.18.0.0 0.0.255.255 area 0
L3SW3(config-router)#network 172.19.0.0 0.0.255.255 area 0

 これで設定は完了です。次の「【L3SW】OSPFv2の設定②」で構築したネットワークの動作検証を行っていきます。

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