インターフェイストラッキングの検証

このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

HSRP(インターフェイストラッキング②検証)

ここでは、インターフェイストラッキングを設定していきます。

 使用するネットワークは、「HSRP(インターフェイストラッキング①設定)」で設定した下図の構成を用います。

HSRPのインターフェイストラッキングの設定

 インターフェイストラッキングとは、指定したインターフェイスを追跡して、HSRPのプライオリティを制御する機能です。構文は、以下となります。

Router(config-if)#standby group-number track interface-number interface-priority

オプション説明
interface-numberトラッキング(追跡)するインターフェイスを指定する。
interface-priorityトラッキング(追跡)したインターフェイスがDownした時の減算値を指定します。指定しない場合のデフォルト値は、10となります。トラッキング対象のインターフェイスがUPすると、指定した値が加算されます。
※Packet Tracer では、「interface-priority」が指定できないため、デフォルトの10となります。

 R3ルータのS0/0/0がダウンした場合、R3ルータのプライオリティ値がR2ルータよりも小さい値になるようにします。Packet Tracer では減算する値を指定できないため、R3ルータのプライオリティをデフォルトの「105」にします。

ネットワークを下図となるように設定していきます。

R3ルータのG0/0のプライオリティをデフォルトの105にします。

R3(config)#int g0/0
R3(config-if)#standby 1 priority 105

R3ルータで「track」オプションと「preempt」を指定します。

R3(config-if)#standby 1 track s0/0/0
R3(config-if)#standby 1 preempt

 「track」オプションを指定することで、S0/0/0 がダウンした場合、プライオリティ値「105」から10が引かれて「95」になります。

インターフェイストラッキングを設定する場合、「preempt」機能も併用する必要があります。

 「HSRP(プリエンプト)」で解説していますが、一度Activeルータが選出されると、後からプライオリティの高いルータが現れても、現在のActiveルータがダウンするまで、Activeルータに選出されません。

そこで、R2ルータで「preempt」コマンドを指定します。

R2(config)#int g0/0
R2(config-if)#standby 1 preempt

これで、インターフェイストラッキングの設定は完了です。

R1ルータとR3ルータを接続するシリアルケーブルを削除します。

R3ルータで「show standby」コマンドを実行します。

●R3の「show standby」コマンドの出力結果

R3#show standby 
GigabitEthernet0/0 - Group 1
  State is Standby
    10 state changes, last state change 00:03:24
  Virtual IP address is 192.168.1.254
  Active virtual MAC address is 0000.0C07.AC01
    Local virtual MAC address is 0000.0C07.AC01 (v1 default)
  Hello time 3 sec, hold time 10 sec
    Next hello sent in 0.84 secs
  Preemption enabled
  Active router is 192.168.1.1, priority 100 (expires in 9 sec)
    MAC address is 0000.0C07.AC01
  Standby router is local
  Priority 95 (configured 105)
    Track interface Serial0/0/0 state Down decrement 10
  Group name is hsrp-Gig0/0-1 (default)

R3ルータが、Standbyルータで、プライオリティ値が「90」であることが分かります。

また、コンソールログに以下のメッセージが表示されます。

%HSRP-6-STATECHANGE: GigabitEthernet0/0 Grp 1 state Speak -> Standby

 「Speak -> Standby」のメッセージから Standbyに移行したことが分かります。

R2ルータで「show standby」コマンドを実行します。

●R2ルータの「show standby」コマンドの出力結果

R2#show standby 
GigabitEthernet0/0 - Group 1
  State is Active
    8 state changes, last state change 00:03:06
  Virtual IP address is 192.168.1.254
  Active virtual MAC address is 0000.0C07.AC01
    Local virtual MAC address is 0000.0C07.AC01 (v1 default)
  Hello time 3 sec, hold time 10 sec
    Next hello sent in 0.097 secs
  Preemption enabled
  Active router is local
  Standby router is 192.168.1.2, priority 95 (expires in 8 sec)
  Priority 100 (default 100)
  Group name is hsrp-Gig0/0-1 (default)

R2ルータが、Standbyルータに移行していることが確認できます。

疎通確認

PC1から「10.0.0.10」へPingを実行します。

C:>ping 10.0.0.10

Pingは、もちろん通ります。

復旧後の確認

R1ルータとR3ルータをシリアルケーブルで接続します。

コンバージェンスするまで、少し時間がかかります。

R3ルータで「show standby」コマンドを実行します。

●R3の「show standby」コマンドの出力結果

R3#show standby 
GigabitEthernet0/0 - Group 1
  State is Active
    18 state changes, last state change 00:27:42
  Virtual IP address is 192.168.1.254
  Active virtual MAC address is 0000.0C07.AC01
    Local virtual MAC address is 0000.0C07.AC01 (v1 default)
  Hello time 3 sec, hold time 10 sec
    Next hello sent in 2.333 secs
  Preemption enabled
  Active router is local
  Standby router is 192.168.1.1, priority 100 (expires in 7 sec)
  Priority 105 (configured 105)
    Track interface Serial0/0/0 state Up decrement 10
  Group name is hsrp-Gig0/0-1 (default)

R3ルータが、再びActiveルータとなっていることが確認できます。

まとめ

 このように、インターフェイストラッキングを設定しておくことで、指定したインターフェイスの障害を検知して、HSRPの切り替えを行うことができます。

 Packet Tracer では、完全にHSRPには対応ができていないようで、実機における動作と少し異なるところがあります。インターフェイストラッキングにプライオリティを設定できなかったり、Activeルータの選出にインターフェイスのIPアドレスの値で選出されなかったりするので、注意が必要です。

関連コンテンツ