DHCPリレーとは
の続きです。
DHCPは、IP関連のパラメータの設定を自動化するために、今では、ネットワークに欠かせないサービスになりました。数十台規模のネットワークになるとDHCPサーバを導入している所がほとんどでは、ないのでしょうか。
しかし、この便利なDHCPですが、下の図のようにブロードキャスト通信を使ってサーバとクライアント間で通信する仕組みから、ネットワークの規模が大きくなってくるとある問題が浮かび上がってきます。DHCPクライアントとDHCPサーバのメッセージの交換のやり取りを確認してみましょう!
DHCPの通信の流れ

①クライアントがサーバに対して、まず「DHCPDISCOVER」メッセージをネットワーク全体に対して送信します。
送信先MACアドレス ・・・ FF:FF:FF:FF:FF:FF
送信先IPアドレス ・・・ 255.255.255.255
②DHCPサーバが「DHCPDISCOVER」メッセージを発見すると、「DHCPOFFER」メッセージで応答します。このメッセージの中には、候補となるIPアドレスが入っています。
③受け取ったIPアドレスで問題なければ、取得要求である「DHCPREQUEST」メッセージを送信します。
④サーバは、「DHCPACK」メッセージでIPアドレスや、その他のオプションを通知します。
これらの通信は、全てブロードキャストで実行されます。ルータは、ブロードキャストをブロックします。そこで、問題が発生してくるのです。
例えば、下図のように各セグメントをルータでつなげてネットワークを構築する場合、ルータの向こう側にあるDHCPサーバへの通信がブロックされてしまうのです。

その結果、セグメントごとにDHCPサーバを用意してやる必要がでてくるのです。これでは、せっかく、IP関連のパラメータの設定を自動化できても、DHCPサーバの運用管理が大変でメリットが半減してしまいます。DHCPサーバを立てたらほったらかしというわけには、ゆきません。OSのアップデートも必要ですし、台数が増える分、動作不良や故障の発生回数も増えてきます。
そこで、いくつか解決策があります。
1つ目は、DHCPリレーエージェントを使う方法です。
DHCPリレーエージェント
DHCPリレーエージェント機能を利用すると下図のように、リレーエージェントがブロードキャストで送られてきたDHCPクライアントからの要求を代理で受け取って、別のセグメント(ネットワーク)上にあるDHCPサーバに転送してくれます。

そして、DHCPサーバからの応答を受け取って、元のDHCPクライアントにブロードキャストで返信します。DHCPリレーエージェントがこの中継処理を行うことで、各セグメントにDHCPサーバを設置せずに済むようになります。
これで、ちょっと考えてみて下さい。
セグメントごとにDHCPサーバを設置せずに済むようになりましたが、代わりにDHCPリレーエージェントを設置しなければなりません。
Windows 2000 Server、Windows Server 2003には、「DHCP リレー エージェント」機能があるので、これらを用いれば、DHCPリレーエージェントを比較的簡単に用意することができるのですが、メンテナンス機器が増え、運用管理に負担がかかることに変わりありません。
そこで、2つ目の方法がオススメになってきます。
ルータにDHCPリレーを設定する方法
この方法は、ルータに、DHCPリレーの設定を行って、ルータ自身にDHCPの通信をリレーさせる方法です。この方法だと、別途、DHCPリレーエージェント機能をインストールしたPCを用意しなくても済みます。

運用管理においても、メンテナンスしなければならない機器が増えるわけではないので、運用面が楽になります。また、費用的にも、別途、PCを用意しなくても済むので安上がりになります。
DHCPリレーとはどんなものか、理解したところで、実際にL3SWにDHCPリレーの設定をしてみましょう!
続きは、「DHCPリレーの設定」で紹介します。