BGP(MED属性の設定 その2)
前の「BGP(Local Preferenceの設定 その1)」では、下のネットワークをBGPを使用して構築しました。
「10.10.10.0/24」と「20.20.20.0/24」の経路において、各ルータのベストパスは、以下のようになっています。
●Router_Bにおいて
iBGP経路より、eBGP経路の経路が優先されるため「172.16.0.1」を経由するパスがベストパスになっている。
●Router_Cにおいて
iBGP経路より、eBGP経路の経路が優先されるため「172.17.0.1」を経由するパスがベストパスになっている。
●Router_Dにおいて
BGPピアのルータIDが小さい方のパスが優先されるので、「172.16.0.1」を経由するパスがベストパスになっている。
ここでは、、MED属性を設定して、「20.20.20.0/24」の経路は、Router_Cを通り、「172.17.0.1」を経由するように設定していきます。

MED(multi exit discriminator)は、外部ASに対してどのピアを使ってもらうのかを指示する場合に使用する属性です。
MED属性の特徴をおさらいしておくと、次のような特徴がありました。
MED属性の特徴
- 着信トラフィックに影響を与える属性
- 外部ASのネイバールータに対して、自身のAS内への優先パスを示す。
- 外部ASから自身のASへ、どのパスを優先させるのかを指示する唯一の属性
- デフォルト値は、「0」
- 低い値を持つパスが優先される。
- MED属性を加えた経路情報が伝わるのはは隣接するASまでで、その次のASには伝わらない。
MED属性を付随させる
MED属性は、外部ASのネイバールータに対して、自身のAS内への優先パスを指示してゆきます。
そこで、Router_Aに外部のAS200でネイバーであるRouter_B、Router_Cに対して、次のMED値をセットして経路情報を流すように設定してゆきます。
「20.20.20.0/24」に関して
・Router_Aへは ・・・ MED値200
・Router_Bへは ・・・ MED値100
を付随させるようにします。
そうすることで、AS200内のBGPスピーカーは、MED値が低い、MED値100の経路をベストパスとして採用し、その結果、「20.20.20.0/24」へは、Router_Cを通り、「172.17.0.1」を経由するようになるはずです。
それでは、Router_AにMED属性を付随させる設定を行ってゆきます。
Router_Aに以下の設定を追加します。
MED属性をセットするためのポリシーを作成します。
まずは、マッチさせる経路をアクセスリストで定義します。
Router_A(config)#access-list 1 permit 20.20.20.0 0.0.0.255
Router_C用に、MED値を100を付随させるルートマップを作成します。
ルートマップ名「MED100」を作成します。
Router_A(config)#route-map MED100 permit 10
Router_A(config-route-map)#match ip address 1
Router_A(config-route-map)#set metric 100
Router_A(config-route-map)#route-map MED100 permit 20
Router_A(config-route-map)#set metric
Router_B用にMED値を200を付随させるルートマップを作成します。
ルートマップ名「MED200」を作成します。
Router_A(config)#route-map MED200 permit 10
Router_A(config-route-map)#match ip address 1
Router_A(config-route-map)#set metric 200
Router_A(config-route-map)#route-map MED200 permit 20
Router_A(config-route-map)#set metric
作成したルートマップをネイバールータに適用します。Router_Aの送信時に適用させるので、向きは「out」を指定します。
Router_A(config)#router bgp 100
Router_A(config-router)#neighbor 172.16.0.2 route-map MED200 out
Router_A(config-router)#neighbor 172.17.0.2 route-map MED100 out

ルートマップの設定が完了したら、AS200のネイバールータとのピアを張りなおします。
Router_Aで、「clear ip bgp *」コマンドを実行します。
続きは、次の「BGP(MED属性の確認)」で、MED属性をRouter_Aで付随させたことで、AS200において、どのような影響を与えたのかを検証していきます。
