QoS設定例・特定のホストを優先する

ここでは、単純な優先制御を設定していきます。

ネットワークの構成は、下図の通りです。

PC1が通信するパケットを優先するように優先制御の設定を行います。

●R1ルータの設定

まずは、R1ルータの基本設定を行います。

# console prompt R1
R1# ip lan1 address 192.168.1.1/24
R1# ip lan2 address 192.168.2.1/24
R1# ip route default gateway 192.168.2.2

優先制御の設定

キュータイプを指定します。lan2に優先制御を指定します。

R1# queue lan2 type priority

 PC1(192.168.1.2)から送信されるパケットをクラス4とするフィルタを定義します。クラス4は、最高優先度で、下位クラスより優先的にパケットが処理されます。

 フィルタにマッチしないパケットは、全てデフォルトのクラス2として扱われます。デフォルトのクラスは、「queue interface default class」コマンドで変更することができます。

R1# queue class filter 1 4 ip 192.168.1.2 * * * *

lan2インターフェイスに、フィルタを適用します。

R1# queue lan2 class filter list 1

設定を保存します。

R1# save

●R2ルータの設定

R2ルータの基本設定を行います。

# console prompt R2
R2# ip lan1 address 192.168.3.1/24
R2# ip lan2 address 192.168.2.2/24
R2# ip route default gateway 192.168.2.1

優先制御の設定

キュータイプを指定します。lan2に優先制御を指定します。

R2# queue lan2 type priority

 宛先がPC1(192.168.1.2)のパケットをクラス4とするフィルタを定義します。クラス4は、最高優先度で、下位クラスより優先的にパケットが処理されます。

 優先制御は、インターフェイスから送出されるパケットに対してのみ優先されることとなるため、双方のルータに対して優先制御の設定を行います。

R2に優先制御を行わない場合、PC1から送信される戻りのパケットがR2で遅延する可能性が出てきます。

フィルタにマッチしないパケットは、全てデフォルトのクラス2として扱われます。

R2# queue class filter 1 4 ip * 192.168.1.2 * * *

lan2インターフェイスに、フィルタを適用します。

R2# queue lan2 class filter list 1

設定を保存します。

R2# save

これで、ホストベースの優先制御の設定は終わりです。

 実際に、優先制御が行われているかどうかを検証したいところですが、相当に負荷をかけなければ、検証することはできません。

 パケットジェネレータを使用して大量にパケットを生成したり、pingコマンドで、オプションを指定してサイズを大きくしたり、送信間隔を短くし送信回数を増やしても、少々のことでは負荷をかけることができません。

ということで、優先制御の検証は、省略します。