Proxy ARPとは
Proxy ARPは、代理ARPとも呼ばれ、あるホスト宛のARP要求に対して、ルータが、そのホストに代わってルータのMACアドレスで応答する機能です。
サブネットを理解できない(設定できない)ホストが存在するネットワークで、主に使用されます。また、遠隔地にあるLANを一時的に収容する場合などにも利用されます。
下図のネットワーク構成のように、ネットワークアドレスが包含関係にあるネットワークで有効です。

●構成図の説明
・PC_Aが所属する本当のネットワークは、「172.16.1.0/24」ですが、「172.16.1.0/16」に設定しています。
・PC_Bが所属するネットワークは、「172.16.2.0/24」に設定しています。
PC_Aのサブネットマスクは、「255.255.0.0」になっているため、コンピュータAは、自分が「172.16.0.0/16」に所属していると勘違いしています。
つまり、ルータの左側の「172.16.0.0/16」ネットワークが、右側の「172.16.2.0/24」ネットワークを包含する関係になっています。
172.16.0.0/16 ⊃ 172.16.1.0/24
PC_AからPC_Bにパケットを送信する場合、PC_Aは、PC_Bと同じネットワークに所属していると判断してしまいます。
そこで、PC_Aは、デフォルトゲートウェイのIPアドレスに対してではなく、PC_BのIPアドレスに対してARP要求を行います。
ARPは、ブロードキャストを使用するため、同一ネットワーク(サブネット)内のホストであれば、MACアドレスの解決を行うことができますが、別ネットワーク(サブネット)のホストのMACアドレスを解決することができません。
そこで、Proxy ARPが有効なインタフェースを持つルータが、このARP要求を受信した場合、PC_Bの代わりにARP応答パケットを送信します。
その結果、PC_Aは、PC_Bと同じネットワークに所属しているかのように通信が行えます。
Proxy ARPを設定するコマンド
ここでは、Proxy ARPを設定するコマンドを紹介します。
代理ARPの設定
#ip interface proxyarp proxyarp
#ip interface proxyarp vrrp vrid
【設定値及び初期値】
●interface
設定値: LAN インタフェース名
●proxyarp
設定値 :
設定値 | 説明 |
on | 代理ARPを動作する。 |
off | 代理ARPを動作しない。 |
初期値: off
●vrid
設定値: VRRPグループID (1..255)
【説明】
代理ARPを動作させるか否か設定します。「on」を設定した時には、代理ARPの動作を行います。この時利用するMACアドレスは、LANインタフェースの実MACアドレスとなります。
第2書式を設定した時には、指定したVRIDでのVRRPの状態がマスターである場合のみ代理ARPの動作を行います。その際、利用するMACアドレスは指定されたVRIDの仮想MACアドレスとなります。