屋内の電気配線がLANケーブルに!

 電気配線を通信回路として利用できる電力線搬送通信(PLC)が解禁されました。2006/12/9から家庭向けPLCアダプタが発売され、家庭でLANを構築するのに、新たなバリエーションが加わることになりました。

 PLCとは、Power Line Communicationsの略で、一見、私たちの今までの生活に馴染みがないように感じるかもしれませんが、実は、ずいぶん昔から、存在します。PLCは、家庭用のインターフォンなどで以前から使われていた技術なのです。

 なかなか、家庭用のLAN用に高速PLCが許可されなかったのは、電力線から漏れる電磁波の影響があって、短波ラジオ、アマチュア無線などの通信に悪影響を及ぼすことで見送られてきたからです。

 無線LANが低価格になり、電波がよく飛ぶ、電波出力強化機能が備わってきたからと言っても、無線LANは、鉄筋コンクリート壁に囲まれた建物では、電波が遮断され通信しにくいのは事実です。そういった意味でも、このPLCは、かなり魅力的であると言えると思います。

下図は、PLCを使ったネットワークの構成例です。

導入も容易で、コンセントに挿すだけです。

 無線LANを「WDS」で構築するときと同様に、親機と子機が必要です。登録できる子機の数は、親機の性能で決まります。8台まで子機を登録できるものが、発売されていますので、自宅でネットワークを構築するには十分だと言えるでしょう!

 設定や導入が難しいのでは?と思われるかもしれませんが、最近の家庭用のネットワーク機器は、誰でも設定できるようになっていてとても親切な設計になっています。例えば、PanasonicのBL-PA100KTでは、「SETUP」ボタンが付いており、ボタンを押すだけで楽々、登録できるようになっています。

 PLCの最大のメリットは、屋内の電気配線をLANに利用できることです。どんな住宅でも、各部屋に電源があると思います。その屋内に張り巡らされた配線を活用できるのは、かなり魅力的です!

電波の遮断されやすいマンションやコンクリート住宅にオススメです。

 気になる値段ですが、無線LAN機器より若干値段が高いですが、手頃な値段で導入しやすい値段になっています。無線だと電波が届きにくく、家庭内LANをあきらめていた方にとって心強い味方になってくれると思います。

電力線搬送通信(PLC)でLANを構築

 下の図は、PLCアダプタで家庭内LANを構築した場合のイメージ図ですが、無線の「WDS」機能やイーサネットコンバーターを使用してネットワークを構築した場合と非常によく似たトポロジになります。

違うところは、各部屋ごとに独立したLANを無線ではなく屋内電源配線で接続する点です。

下図は、無線LANで構築したイメージ図です。

れぞれの特徴をまとめてみると以下のような感じになります。

構築方法コストメリット
PLCで構築やや高め・部屋(フロア)をまたがる接続が可能。屋内電源配線を利用するのでコンクリートの障害物があっても大丈夫。
・各部屋に電源コンセントがあれが、ネットワーク機器を接続することが可能になる。
WDSで構築安価・部屋(フロア)をまたがる接続がやや難、壁などの障害物に弱い。
・アクセスポイントが数台で、屋内全域をカバーできる。電波状況がよければ、1台で屋内全域をカバーすることも可能。

 どちらで、構築するか、悩むところですが、余程、無線電波状態が悪くない限り、無線LANで構築した方が、コスト的には、今のところ有利です。

 ただ、無線の場合、セキュリティが心配になりますが、最近の無線LANルータは、流れるデータの暗号化も自動設定してくれる製品があるので、セキュリティの設定に自信がない方でも安心して利用できるようになっています。