IPv6(特殊なユニキャストアドレス)

 IPv6アドレスには、特殊な用途に利用するユニキャストアドレスがいくつかあります。ここでは、以下のアドレスを紹介します。

種類表記例
ループバックアドレス ::1
未指定アドレス ::
IPv4互換アドレス ::/96
 0:0:0:0:0:0:<w.x.y.z>
 または
 ::<w.x.y.z>
IPv4射影アドレス ::FFFF:x.y.z.w (x.y.z.wはIPv4アドレス)
6to4アドレス 2002::/16

ループバックアドレス

 ループバックアドレスは、自分自身を宛先として、パケットを送るためのアドレスです。IPv4では、「127.0.0.1」などを利用しましたが、IPv6では、最下位ビットのみを「1」にしたアドレスを使います。

   「0000:0000:0000:0000:0000:0000:0000:0001」
                     ↓
               「0:0:0:0:0:0:0:1」
                     ↓
                    「::1」

Windows Vistaのコマンドプロンプトを表示します。

ループバックアドレス「::1」に対してPingを実行してみます。

C:¥>ping ::1

デフォルトでIPv6が有効になっているので、Pingの応答が戻ってきます。

未指定アドレス

 全てのビットが「0」のアドレス、「0:0:0:0:0:0:0:0」(::)は,未指定アドレスと定義されています。未指定アドレスは、まだ、インターフェイスにアドレスが存在しないことを表しています。

 DHCPv6サーバにアドレスの割り当てを受ける際に、まだ、アドレスが、未割り当てであることを示します。ノードの接続開始時などに使用されるアドレスです。

IPv4互換アドレス

 IPv4互換アドレスは、2つのIPv6ホストが、IPv4ネットワークを介して通信する時に、自動的にトンネルを作る際に利用するアドレスです。

先頭から96ビットまでが「0」で、下位32ビットには、IPv4アドレスをそのまま使います。

 

例えば、「200.200.200.200」というIPv4アドレスに対するIPv4互換アドレスは、次のようになります。

 200(10進数) = C8(16進数)

 「::C8:C8:C8:C8」

または、

 「::200.200.200.200」

IPv4射影アドレス

 IPv4射影アドレスは、IPv6をサポートしていないIPv4ホストで使用するアドレスです。IPv4しかサポートしないホストとIPv6ホストが通信する場合に、IPv6ホストは、IPv4射影アドレスを用いて通信を行います。

6to4アドレス

 6to4アドレスは、IPv6データグラムをIPv4データグラムにカプセル化してIPv6網に接続する際に使用するアドレスです。

 6to4アドレスでは、「2002::/16」のプレフィックスと、32ビットのIPv4アドレスを埋め込んで48ビットのプレフィックスとで生成されます。