固定長サブネット分割の限界

 ネットワークを分割するサブネット化は、大規模なネットワークでは柔軟性に欠けます。単純なサブネット分割では、分割したサブネットは、全て均等なサイズとなるため、必要以上のIPアドレスを割り当ててしまうことになってしまいます。

 例えば、下図のネットワークで、「192.168.1.0/24」ネットワークをサブネット分割して、サブネットを割り当てる場合を考えてみます。

必要なサブネットの数は、6つです。

 28ホストのネットワーク ・・・ 1つ
 10ホストのネットワーク ・・・ 1つ
 24ホストのネットワーク ・・・ 1つ
 ルータ間        ・・・ 3つ

 一番ホストの数が多いサブネットは、ホストが28台あるサブネットです。ルータのインターフェイスのIPアドレスを合わせると29個のIPアドレスが必要となります。

そのため、ホスト部に5ビット以上必要となります。

つまり、必要なサブネット数を満たし、かつ、必要なホスト数を確保するには、「/27」で分割する必要があります。

 しかし、単純なサブネット分割では、全て均等に同じサイズのサブネットしか作成できないため、無駄なIPを割り当ててしまうこととなります。

例えは、ルータ間はルータのインターフェイスに割り当てる2つのIPアドレスしか必要ありません。

 サブネット当たりのホスト数は、25-2=30個のIPアドレスがありますから、28個のIPアドレスを無駄にしてしまいます。これが、固定長サブネット分割の限界です。

VLSM(可変長サブネットマスク)を使用すれば、アドレススペースの効率良く使用することができます。

可変長サブネットマスク(VLSM)とは

 VLSMとは、簡単に説明するとサブネットのサブネット化です。サブネット分割したものをさらに分割します。VLSMでは、階層型にアドレスを割り当てることができるため、サブネットを集約して扱うことができます。

 サブネットを集約できるということは、ルータにとって、ルーティングテーブルのサイズを縮小することができるため、ルーティング検索にかかるCPUやメモリへの負荷を少なくすることができます。

 また、複数のサブネットマスク長の使用が可能なため、効率的にアドレススペースを活用することができます。例えば、上の「固定長サブネット分割の限界」で説明したように、下図のネットワーク構成では、ルータ間のIPアドレスが、28も無駄になってしまいます。

そこで、VLSMでIPアドレスの割り当てを行うと、例えば、以下のように割り当てを行うことができます。

 「192.168.1.0/24」を8つに分割した最後のサブネット「192.168.1.224/27」をさらに8つにサブネットに分割したサブネットをルータ間に割り当てています。

将来、拡張用としてLANに4つのサブネット、将来、拡張用としてWAN接続(ルータ間)に5つサブネットを残しておくことができます。

ここで、分割した例は、ほんの一例で、IPアドレスの範囲が重ならなければ、どのサブネットを分割してもかまいません。

また、それぞれ異なるプレフィックスも用いることもできます。

 28ホストのネットワーク ・・・ 「/27」
 14ホストのネットワーク ・・・ 「/27」
 ※ルータのインターフェイスを加えると15個のIPアドレスが必要
 10ホストのネットワーク ・・・ 「/28」
 ルータ間        ・・・ 「/30」